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人の欲求に最大限応え形作られた日本のラブホ 昭和、平成、令和…日本ラブホテルの変遷史

東洋経済オンライン / 2024年5月18日 19時0分

行ってみたらビジネスホテルと変わらないような、シンプルで面白味のない部屋だったり、また、先客がいたり、メンテナンス中であったりお目当ての部屋が空いていない、ということもある。改装されて、掲示されていた写真と全然違っていることもある。

閉業したことを知らずに行ってみたら、跡形もなく更地になっていたこともあった。写真展で展示する作品として選ぶホテルは、数多く足を運んだ成果のごく一部、頂点の頂点から選んだものなのだ。

昭和、平成、令和と時代で明確に分類されているわけではないが、「どの世代の人間に合わせて作っているか」であれば、大体の分類分けは可能である。

①和風簡易旅館

旅荘、連れ込み宿(情事のための客を専門に営業する簡易旅館のこと)と呼ばれた時代の名残があるもの。

畳、襖、木製の座卓、布団があるところまでは普通の旅館と変わらないのだが、違いがあるとすれば、座卓スペースとは別に寝室スペースがあること、事前に布団が敷かれていること。そして、布団の横に襖鏡があることが多い。なお、ティッシュやコンドームなどの衛生用品の用意もある。1950年代から1960年代に多くみられたスタイルなのだろう。

②デラックス昭和ラブホ時代

1970年代から1980年代前半に作られたホテルを、こう呼んでいる。特徴を言えば、内装の華美さと遊び心を追求している点だ。

派手な装飾、鏡の多用、風呂のガラス張り、動くベッドなど、視覚を刺激するものが多い。第2次ベビーブームで平均年齢はグッと下がり、若者が最もパワーをあり余らせていた時代だ。

マイカーの普及とともにラブホテルは乱立し、競争化が進んだ。テレビなどの電子器具が不十分なぶん、インテリアや壁紙、支柱などで電気が通わなくても存在するだけで華やかになるものを置いたのだろう。

例えると、オペラ劇場。実際に上映がなくても、劇場の装飾だけで楽しむことができる。

③改装済み昭和ラブホ

どんなにこまめに手入れをしていても、内装をオープン当時のまま維持していくことはたいへんなことだ。とくに壁紙はどこかでガタが来る。

大規模な改装はせずに、壁紙をきれいに変え、貴重な昭和ラブホのフォルムを多く残しつつも現在も安心して使える状態に残したホテルも多く存在する。懐かしさもあり、理想的な昭和の残り方とも取れる。

④シティホテル化の平成時代

次は平成だ。1985年の新風営法施工後のバブル期、さらに平成に入ると、シティホテルのような都会的なものが好まれるようになった。昭和に比べて内装はシンプルで、清潔感やサービスが重視されるようになる。

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