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人の欲求に最大限応え形作られた日本のラブホ 昭和、平成、令和…日本ラブホテルの変遷史

東洋経済オンライン / 2024年5月18日 19時0分

飲食の提供、健康器具やカラオケ設置、広い風呂、照明器具が発展し、ブラックライトなどの演出。清掃のしやすさ、衛生面でも気が使われるようになった。

また、内装よりもカラオケや健康器具、ジェットバスなど設備で満足度を上げているのが特徴。中にはプールがあったり。私がラブホテルに通った平成中末期はコスプレの無料貸し出しが全盛だった。

昭和ラブホがオペラ劇場ならば、平成はシアター(映画館)だと言える。シンプルな内装で、上映があることで楽しませる。逆に上映がないと視覚的に物足りなかったりもする。

地方を旅したときに、手頃なモーテルに宿泊しようとすると、この平成ラブホデザインが多く見られる。淡い優しい色で取り囲み、鈴蘭型のランプがよく置かれている。昔、子供の頃に家族旅行した清里や軽井沢のペンションを思い出して懐かしくなる。

⑤SNSで呼び込みたい令和のラブホテル

令和になると、SNS映えを意識したためか昭和時代の華美さを取り戻す。同時に、進化した技術を駆使し、快適に過ごせる空間作りを徹底している。平成と昭和のハイブリッドだ。

令和の代表格として私が推しているのはSARAグループ。 異彩を放つホテルグループだ。東京・五反田、錦糸町をはじめ、千葉・南船橋、埼玉・川越などで展開する。最大の魅力はハイクオリティなコンセプトルームと奇天烈なルーム名で、「教室」「電車」「診察室」「社長室」などのコンセプトルームは運が良くないと入れないほど人気だ。

病院、電車、映画館など、実際の場所ではできないけれど、ここなら実現できることがある。昭和は非現実的な夢を見せてくれるが、令和では現実の延長にある夢を見せてくれるのかもしれない。

ラブホの料金表も魅力の1つ

昭和ラブホテルの料金表形式の展示をしていると、次によく聞かれた質問はこうだ。「今もこの値段でやっているんですか?」。

答えはイエス。地域差はあり多少の変動はあるものの、地方郊外の価格はほぼ同じではないかと思う。つまり日本の経済が伸びていないのか、と考えてしまうが、単純に内装には大きな手を加えていないので、上げていないと考えられる。

最近は原油や燃料の高騰などで、500円ほど上乗せするところもあるが、それは致し方ない。最先端をいく令和のレジャーホテルは、サービスも充実して、清潔な空間が求められるので、それなりに価格帯が上がる。

地方遠征した際に最もよく利用しているのは、平成時代のホテルだ。昭和に比べると冷暖房、水回りのインフラはしっかりしており、かつそこそこきれいだ。とはいえ、最新の内装デザインではないので価格は抑えめなところが多い(すべてあくまで私見です)。

私は、ラブホに入ったときの料金案内表が大好きだ。全部屋の写真と料金が1カ所に詰め込まれ、視界に入り切れないほどの情報量が詰まっている。どの部屋をチョイスしようか、学生のように悩んでしまう。

最近のホテルは、画面のタッチパネルになっている。少し物悲しくもあるが、それも時代なのだろう。

「なぜ、ラブホテルの写真を撮っているんですか?」ともよく聞かれる。史料価値として高い写真を撮影し、記録・保存している。これらのラブホテルも老朽化が進めば、廃業してしまうかもしれない。

現に活動を始めた6年弱の間に多くのホテルが閉業している。でも50年後、100年後にまた昭和のようなホテルが作られるようになるかもしれない。あるいは、再現したいと思う人が出てくるかもしれない。その時、私の撮り溜めた写真を活用してもらえたら嬉しく思う。

那部 亜弓:フォトグラファー

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