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「爆破予告者」の犯人像と日常生活における注意点 いたずらでは終わらず甚大被害を及ぼすケースも

東洋経済オンライン / 2024年5月18日 11時20分

その気軽さが犯罪意識の低さを生み出し、犯行予告を増長させている可能性もある。犯行を行った者の中には、ただの“いたずら”を主とした動機も散見され、中には小中学生による犯行も散見される。

その“犯罪意識の欠如”と“犯行予告の手軽さ”という土壌が犯行予告を容易にしてしまっている環境も問題であろう。

また、株式会社Specteeが2020年10月に発表したレポート「【SNS分析】爆破予告の急増について」によれば、2019年10月1日から2020年9月30日までの1年間で爆破予告を覚知した件数は176件。うち、コロナ禍が本格化した2020年6月頃から爆破予告が急増、コロナ禍のストレスが爆破予告の増加に影響している可能性があるという。

爆破予告対象として最も多かったのは「教育機関」で、総件数85件のうち、実に69%を占める59件が「大学」を対象としたものであった。このように、環境が与えるストレスも爆破予告を行う動機となっていると言えよう。

では、爆破予告を含む犯行予告は実行されないのだろうか。今年、世間を震撼させた“桐島聡”の発見劇は記憶に新しいが、その桐島聡が所属した東アジア反日武装戦線による三菱重工爆破事件(1974年発生)では、三菱重工ビルの電話交換手に時限爆弾を設置したから退避するよう爆破予告電話をかけたが、「単なるイタズラ」と捉えられたため、避難処置はとられず、死者8名、負傷者376名といった多大な被害をもたらした。

また、爆破予告ではないが、犯行予告を行った者が、実際に犯行を実施した事例は多数ある。

2000年5月に起きた「西鉄バスジャック事件」では、犯人がネット掲示板に犯行予告ととれる書き込みを行っている。

さらに、2008年6月の秋葉原通り魔事件でもネット掲示板で予告が行われている。

2019年7月に発生した京都アニメーション放火殺人事件では、事件の前に同一のIPアドレスから殺害予告が相次いでいたが、匿名化ツールが使われており、死刑判決を受けた被告との関係は裏づけられなかったが、その関連を指摘する声もある。

最近の爆破予告は、その予告内容から前述の事件のように「必ずやる」という強い意志が感じられないものが多い。最近でも爆破予告が相次ぐ中で、我々社会もオオカミ少年のようにその報道に随分慣れてしまっている部分があるが、実際に切迫性のある爆破予告がなされた際、我々は真剣に避難行動がとれるだろうか。

爆破予告に対する基本的な心構え

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