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「爆破予告者」の犯人像と日常生活における注意点 いたずらでは終わらず甚大被害を及ぼすケースも

東洋経済オンライン / 2024年5月18日 11時20分

爆破予告に対しては“本物である”という心構えで十分警戒し、備え、厳格に対処しなければならない。

官公庁や教育現場でも危機管理マニュアル上、爆破予告に対処するフローが整備されているが、基本的に、前述の実際に犯行が行われた事件を教訓とし、“いたずらだ”と軽く認識しないことが極めて重要だ。

しかし、すべてが“本物“と仮定して避難行動をとることは組織の活動に大きな支障をきたすため、それもナンセンスである。

爆破予告が、いたずらか否か見極める脅威評価の指標として、

・犯行予告の具体性(標的、場所など)

・匿名か否か(氏名や団体名を名乗っているか)

・要求の有無(金銭的要求など)

・予告に関連する事象の有無、連続性

といったものが挙げられるが、結論としては、原則通り、整備された危機管理マニュアルに沿って関係機関と速やかに連携して対処すべきであることは言うまでもない。

日頃の備えとして重要な訓練

危機管理マニュアルが整備されていても、そのフロー通りに動けない可能性もあるため、以下の点に注意して訓練しなければならない。

・行動/避難基準、対応要領を定め、全職員に周知させる。

・爆破予告を受けうる全職員に対し、爆破予告への対応要領を周知し、訓練を行う。

・電話対応の場合は、犯人のなまりや周辺の音などの留意するべきポイントがある。

・実際の避難時に混乱しないよう避難訓練を反復実施する。 

・パニック状態なると、人的および物的損害の可能性が飛躍的に高まる。

(外務省「海外へ進出する日本人・企業のための爆弾テロ対策」)

また、米国CISA「BOMB THREAT GUIDE」では、SNSやEメールで爆破予告を受け取った際の対処要領について以下のように示している。

・インターネット、ソーシャルメディア、電子メールのアカウントをログアウトしない。

・デバイス上でメッセージを開いたままにする。

・印刷、写真撮影、スクリーンショットを行う、またはメッセージと件名をコピーする。

※英国NaCTSOでは、さらに「警察の捜査に役立つよう、組織のすべてのWebログファイルを保存する」ことを求めている(目安として、爆破予告受理の7日前とその後48時間のデータ)。

そして、実際に爆発物などの不審物が発見された場合は、以下の点に注意して、爆発物対応3原則「触るな、踏むな、蹴とばすな」を守って行動しなければならない。

①不審物に触ることなく、速やかに物件から遠ざかり、警察等関係当局へ通報し、事後の処理を依頼する。

②不審物が小さくとも軽視しない。指サックやライター大の爆弾で人を殺すこともできる。

③物件は一つだけとは限らない。犯人は分かりやすい所に一個を仕掛け、他の爆弾から注意をそらせ、より大きな被害を発生させようと考えていることがある。

(外務省「海外へ進出する日本人・企業のための爆弾テロ対策」から抜粋)

最後に、爆破予告は悪質極まりない犯罪である。

警察庁は、犯行予告のあった事件を未然に防止するためには、警察が犯行予告を早期に把握することが必要不可欠であるとし、インターネット上の犯行予告を発見した時は、警察への通報(緊急の対応を要する場合は110番通報)を要請している。

警察による徹底的な捜査により1件でも多く立件されることを願いつつ、我々社会も爆破予告に慣れてしまわないよう、日頃から危機対応を心掛けておかなければならない。

稲村 悠:日本カウンターインテリジェンス協会 代表理事

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