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「株価暴落」引き起こしてしまう意外な"きっかけ" 金融危機のきっかけとなった市場急落のケース

東洋経済オンライン / 2024年5月18日 8時40分

<フラッシュ・クラッシュ>

わずか数分で市場価格が大きく変動する現象。原因は、ヘッジファンドなど機関投資家のプログラム売買と言われているが、2010年5月に起きた株式市場でのフラッシュ・クラッシュも瞬間的なものだった。わずか数分でニューヨークダウ平均が1000ドルも下落。しかし、他の市場に波及することがなかったために、市場は急速に回復した。

同様に、2016年10月7日にはイギリスの為替市場で瞬間的にポンドドル相場が6%急落している。ポンド円相場でも、1ポンド=131円から124円に急落。為替介入のような人為的なものではなく、コンピューターのプログラムによるアルゴリズム取引や高頻度取引が原因と言われている。最近も、AIによる売買取引が普及する中でフラッシュ・クラッシュはしばしば起きており、新しい時代の金融危機と言っていい。

リーマンショックの最初の兆候

<リーマンショック>

2008年9月、アメリカで低所得者向けの住宅ローン「サブプライムローン」が破綻し、大手投資銀行の1つであった「リーマン・ブラザーズ」が経営破綻した金融危機。グリーンスパン前FRB議長が「100年に1度の金融危機」と発言したことも大きなインパクトとなった。

世界中に大きな影響を与えたこの金融危機の最初の兆候は、サブプライム住宅ローン証券を大量に購入していたアメリカの大手金融「ベアー・スターンズ」傘下のヘッジファンド2本の破綻であったと言われている。これが2007年7月31日、きっかけをいち早く察知した投資家はその後大きな利益を上げたと言われている。

<ドットコム(IT)バブル崩壊>

2000年前後の株価高騰は、インターネットなどのIT産業が、今後世界の産業界を牽引していくとして株価が急騰した。ちょうど、現在の「AIブーム」や「半導体ブーム」に似た状況だったと言っていい。そのITバブルはいくつかの段階を経て終焉を迎える。2001年2月に発表された、ITブームを代表する企業のひとつであった「シスコシステムズ」の決算発表も、そのきっかけの1つと言われる。

同社の2000年第4半期の業績が市場予想をわずかに下回ったためだが、同社の株価は1週間で23%下落し、ナスダック市場全体も、1週間で7%を超えて下落。ドットコム・バブル崩壊に拍車をかけた。

1996年には1000前後で推移していたナスダック総合指数は、ドットコム・バブルの絶頂期には「5048」にも達した。シスコシステムズなどの株価暴落で、最終的には2002年には1000台まで下落。当時、イェール大学ロバート・シラー氏が書いた『根拠なき熱狂』が注目を集めたが、2001年に入ってからは光ファイバー大手の「グローバル・クロッシング」、電気通信大手の「ワールドコム」などが相次いで経営破綻。ドットコム・バブル崩壊は2000年4月に平均株価が1割下落したあたりから始まり、その後2002年まで3年間も続くことになる。

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