「株価暴落」引き起こしてしまう意外な"きっかけ" 金融危機のきっかけとなった市場急落のケース
東洋経済オンライン / 2024年5月18日 8時40分
ちなみに、日本ではITバブルが起きて光通信、ソフトバンク、ヤフー、サイバーエージェントといったIT企業の株価が急騰したものの、2000年3月に月刊文藝春秋が光通信の不正を報道したあたりから、日本のネットバブルも崩壊を始める。その後、2006年には「ライブドアショック」も起こり、日本のIT産業の株価は長期的に低迷期に入っていく。ライブドアショックは、リアルタイムで同社に家宅捜査が入る映像が流れ、株式市場はIT企業を中心に暴落する。
日本のバブルが崩壊したとき
<バブル崩壊>
1985年のプラザ合意によって急速な円高が進んだため、財務省が必要以上の金融緩和を実施して、日本の1980年代後半は空前の株価ブーム、不動産ブームに沸いた。しかし、1989年の大納会でつけた日経平均株価の史上最高値は、1990年の大発会以後、継続的に下落を続け、バブルが崩壊した。
その最大の要因は財務省が出した、不動産投資の融資に関する銀行宛の通達「総量規制」だと言われているが、海外の投資銀行が意図的に株価を吊り上げ、空売りによって莫大な利益を手にしていたことはよく知られている。株価が34年ぶりに戻ったのはつい最近のことだ。
<世界大恐慌>
1929年10月24日、ニューヨーク証券取引所で、株式市場は歴史的な暴落を記録する。1920年代は株価が10年で300%も上昇し、熱狂的な株式投資ブームが続いていた。そんなところに起きたのが、10月24日の「暗黒の木曜日」だ。その日は、当時としては破格の1290万株の売りが出され、投資家を慌てさせた。それでも、当時の主要銀行の頭取などが集まって、市場価格よりもかなり高い価格でUSスチールなど優良(ブルーチップ)銘柄に買い注文を出して乗り切ったとされる。
しかし、週明けの10月28日、10月29日には、それぞれダウ平均で12.82%、11.73%ずつ下落し、とりわけ10月29日の下げは壊滅的で、1600万株が売られている。約40年間、その記録は破られることがなかったとされる。29日は火曜日だったため「悲劇の火曜日」と呼ばれている。
ニューヨーク市場は1週間で300億ドルを失ったとされるが、その金額は当時の連邦政府の予算の10年分に相当し、第1次世界大戦でアメリカが失った金額よりもはるかに多い数字だったと言われている。この世界恐慌で下落した平均株価は、第2次世界大戦を終えるまで戻ることはなかった。原因は熱狂的な株式への投機であり、ファンダメンタルズを大きく乖離する割高感だったとされている。市場は、株価の崩壊を待っていたともいえる。
株価暴落、金融危機のメカニズムとは?
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