1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

「何十年前?」職員室のDX化が進まない「なぜ」 生徒にとっても貴重な日々が奪われていないか

東洋経済オンライン / 2024年5月19日 16時0分

学校にこうした決まりがあるのに、理由がないわけではない。保護者と教員のメールなどを禁じている都内の小学校の校長は言う。

「家庭と個人的な関係をつくり、悪用する教員がいるかもしれない。ごくわずかでも可能性があれば、子どもを守るためにルールは必要になる」。

デジタル化が進まない理由はほかにもあるという。この校長は以前、保護者へのアンケートにアプリを使おうとしたが、自治体のセキュリティー担当部署から個人情報の扱いを理由に止められた。

「安全で、子どもにも影響がないという認識が確立すれば変わるかもしれないが、学校が新しいことをやるのは時間がかかりがちだ」

ICT導入で効率化が進んだケースも

一方、ICT(情報通信技術)の導入による事務作業などの効率化が大幅に進んだケースもある。

文科省が作成し、全国の学校が参照できるようにしている「全国の学校における働き方改革事例集」には、生徒が解く練習問題を集めるのにアンケートフォームをつくって集計できるアプリを活用したり、保護者からの欠席連絡を電子化したりといった具体例が盛り込まれた。

そのうちの一つである千葉県柏市の市立小では、AI(人工知能)を使って卒業アルバムの作成にかかる時間を大幅に削減することに成功した。

卒業アルバムは、作る側からすると、写真選びに手間ひまかかることで知られる。特定の子が一度も写っていないとか、一部の子が何度も写るといったことは絶対に防がなければならない。そのため、膨大な人手と時間がかかる。

何とかならないか。教員たちは考えた。この小学校が2020年度に導入したのは、ITベンチャーが開発したオンラインサービス。

大量の写真をクラウド上にアップすると、AIによる顔認証で、児童それぞれがどの写真に何回写っているかを読み取り、集計してくれる。費用は児童1人当たり年間300円ほど。

同校が取り組んだ効率化はほかにもある。

校外学習や水泳への参加の可否など、保護者の意思を確認するアンケートを全てオンラインで回収するようにした。

家庭に配布する紙のお知らせにQRコードをつけ、保護者が私有スマホなどでコードを読み込むと、回答サイトへ飛ぶ。保護者が児童名を入力し、「参加」などの選択肢を選んで送信すると、回答が自動集計される仕組みだ。

導入前は切り取り線を入れた紙を配り、忘れた児童に何度も催促して回収。集めた後にはエクセルに入力していた。1回につき数時間ほど削減できたという。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください