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ラーメン屋経営で地獄見たプロレスラーの気づき 川田利明が向き合う「お客様は神様です」の怖さ

東洋経済オンライン / 2024年5月19日 12時30分

手間ひまを惜しまない味は、きっと客にも通じるはずだという(写真:タイコウクニヨシ)

かつて全日本プロレスで「四天王」として活躍したプロレスラーの川田利明氏が経営するラーメン店「麺ジャラスK」。開業から14年経った今も根強い人気を誇る同店ですが、ここにいたるまでには、さまざまな困難に直面したといいます。

開業から3年以内に80%がつぶれるとも言われているラーメン業界を生き抜いた秘訣を、川田氏の著書『プロレスラー、ラーメン屋経営で地獄を見る』から一部抜粋・編集してお届けします。

たしかに「お客様は神様」に間違いないが

「お客様は神様です」という名言がある。

もともとは国民的歌手の三波春夫さんの残した名言なんだけど、いつのまにか、どんどん違った意味で言葉だけがひとり歩きしてしまった。

三波春夫さんがステージから客席に向かって言ったのは、「こうやってお客様が客席を埋めてくれなかったら、私たちはステージに立てません」という感謝の意味を込めた言葉だったと思う。

ジャンルは違うけれど、俺もプロレスラーとして、お客さんの前で闘ってきたから、その想いはよくわかる。

そんなエンターテインメントにおける演者と観客の関係性を指す言葉が、いつのまにか「お客様は神様のような存在だから、誰よりも偉い」と拡大解釈されるようになり、飲食業界でも当たり前のように使われるようになってしまった。

たしかにお客様は神様だ。それは間違いない。

お客さんが来てくださらなかったら、店は存続できないし、本当に大事でありがたい存在で、これはもう当たり前すぎる話だ。

それを我々、店側の人間が言うんだったらわかる。でも、「俺は客だぞ、神様だぞ。俺の言うことを聞け!」とお客さんから言われてしまうと、それはどうなんだろうか、となってしまう。

でも行きすぎた「おもてなし」精神が浸透した今、そういう人が増えているので、それはもう受け止めなくてはいけない。

「客のミス」によるロスが大きな痛手に

以前、「ランチタイムにラーメンを食べた方はカレーライス無料」というサービスを始めたら「無料のカレーだけくれ!」という人がたくさんやって来たことがあるけど、こんなのはほんの一例。とにかく、サラリーマン生活とは違って、常識的な受け応えだけしていればいい、というわけではなくなる。

自分が客としてラーメン屋に通っていた時のことを思い返してみてもそうだが、無意識のうちに「客のほうが偉い」という言動を取っているケースを見かけないかな。

たとえばあるお客さんがビールを飲んでいる時、つい手をすべらせて、コップをひっくり返してしまったとする。

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