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ラーメン屋経営で地獄見たプロレスラーの気づき 川田利明が向き合う「お客様は神様です」の怖さ

東洋経済オンライン / 2024年5月19日 12時30分

店側には過失はないとしても、基本的に店員は「気にしないでいいですよ」どころか、「大丈夫ですか?」と心配するように声をかけ、代わりのビールまで提供する。テーブルからコップが落ちて割れてしまっても、まったくの不問だ。

実は割り箸は高いんだけど、こぼしたビールで割り箸がびしょびしょになってしまったら、もう使いものにならないから、泣く泣く廃棄処分にするしかない。

細かい話だけど、爪楊枝だって同じだよね。こういう状態になったら、すべて店側が負担するのが、暗黙の了解になっている。

俺が客として飲食店に通っていた時にこういう状況に陥ってしまったら、「すみませんね」とは口にしていたけれども、あとは店員に言われるままにしていた。

よくよく考えたら、あきらかにこっちが悪いんだけど、なんとなく「客のミスは悪くない」という空気がどこの店でもできあがってしまっているんだよね。

いざ、経営する側に回ったら、そういうロスが何気に痛手になる。

さっき補充したばかりの割り箸が一瞬にしてダメになってしまったりすると、その場ではさすがに顔には出さないけど、内心「ああ~っ」となるもんね。お客さんにコップを割られても、ウチでももちろん請求できないから。

「お客様は神様だ」という意識が生む理不尽

とにかく飲食業や接客業をやっていると、一事が万事、こんな感じになることが多いんだ。挙げればキリがないけど、他にもいくらでもある。

たとえばトイレ。

営業中も定期的に掃除をするんだけど、ほとんどのお客さんはきれいに使ってくれる。でもマナーが悪い人が少しだけいて、ちょっと尿が便座にかかっているなんてかわいいもの。汚い話で恐縮だけど、トイレ中に吐き散らかしたり、大便を床に撒き散らす人もいる。掃除にかかる手間も時間も大変だ。

一般的なビジネスの場合、こちらが常識的な提案をすれば、相手側も常識的な返答をしてくるから、スムーズに話が進む。

でも、接客業の場合「お客様は神様だ」という意識でいる人が多いので、こちらが想定していないような要求をされたり、世間一般で言われるような常識では測りきれないような、ものすごく理不尽なことを言われたりもする。

そこはもう「精神力」でぐっとこらえるしかない。

そんな時はちょっと冷静になって、自分が客の立場だった時に、無意識のうちに理不尽なことをしていなかったかどうか考えてみることだ。「常識どおりに事が進まない」とイライラしていたら、この商売は絶対に続けてなんていけないからね。

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