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TOEIC800点超の若手社員に足りない決定的要素 英語力があっても仕事ができるとは限らない

東洋経済オンライン / 2024年5月19日 10時30分

経験に乏しい若手社員ほど、英語を使う未知の仕事には不安を覚えやすい。写真と本文は直接関係ありません(撮影:今井康一)

「豊田さんの英語ってわかりやすいですねー!」

ちょっとニヤニヤしながら話す受講生に対して、思わず「こら!今、ちょっとバカにしただろ」と返してしまいましたが、以前、私がシンガポールで実施した海外研修に参加した20代後半の男性から、そんなふうに言われたことを思い出します。

もちろん言われて嫌な気持ちは何もなくて、彼が言いたかったことは、そんなシンプルで簡単な言い方でも伝わるんですね、ということ。

その人は学生時代から英語の勉強が好きで、TOEICのスコアは900点以上。海外経験はまったくなく、当時の海外研修が初海外でした。そして研修初日に彼が宣言をした「研修で達成したいこと」は、「不安症を克服したい」というものでした。

自分の英語は通用するのか

彼は私よりも高いTOEICスコアを持っていましたが、外国人とうまく話せるだろうか? 自分の英語は通用するだろうか? 外国人とコミュニケーションを取りながら研修で成果を上げられるだろうか? といった不安でいっぱいでした。

シンガポールでの研修初日もそうでしたが、日本で実施した事前研修でも「不安しかありません」と話していました。

でも海外研修が始まった後、私がシンガポール人と話している英語を聞いて、シンガポール人の英語は少し聞き取りにくかったけど、私の英語は全部わかったと言ってくれました。それは彼にとって安心材料にもなったようです(おそらく自分のほうが英語がうまいと思ったのでしょう)。

以前、私のインド人のビジネスパートナーが来日したときのランチに、当時中学生だった娘を一緒に連れていったことがあります。英語を習いたてだった娘から言われたのが、「インド人の英語は全然わからなかったけど、パパの英語はちょっとわかった」ということ。

そりゃそうです。だって、私の使う英語は「中学英語」なんですから。

だから前述した20代後半の受講生の話は、レアケースではありません。彼に限らず、同じような話はよく聞きます。私が海外研修を提供しているほとんどの受講生が、同じだったと言ってもいいかもしれません。

私の会社では「グローバルな環境で仕事をしてみたい」「新しい環境でチャレンジしてみたい」という意識に火をつけることを目的にした海外研修を実施していますが、主に大企業から派遣される20代半ばから30代半ばの受講生の中には、TOEICが800点以上という人も少なくありません。

もちろん英語力は人ぞれぞれで、TOEIC300点台の人もいれば、900点台の人もいます。スコアにかかわらず多くの人が「自分はグローバルな環境で通用するのだろうか」という不安を口にします。

英語力と仕事力は違う

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