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シングル化を招く「柔軟性のない結婚と家族制度」 地方圏で根深く続く「伝統的結婚慣習や家意識」

東洋経済オンライン / 2024年5月20日 9時0分

ところが、ミドル期シングルの大半は、日常においてこれらの親密圏をもっていないことになる。ただし、同居していない親やきょうだいあるいは別居パートナーが、シングルにとって親密圏として機能している実態がある。ミドル期シングルは特に親と親密な関係を維持し、心の支えとなり、困った時には頼れる大切な人になっている。このような親密圏はシングル女性が築いているもので、男性には薄い傾向がある。

結婚に対する女性の忌避の感情

結婚や出産に関する社会的規範(圧力)が緩み、結婚するかしないか、子どもを持つか持たないかを個々人が自由に選択することがかなり許容されるようになった。

しかし現実には、結婚や出産をするかしないかを選択できる層と、やむをえずに結婚や出産をしない層に分かれてきている。男性と変わらない就業状態にある女性たちは、結婚・出産によって多くの機会を失いかねない。若い女性たちはジレンマを抱え、決心できないままシングルを続けている。

しかし、シングルを続ける女性たちの中には、将来の経済的不安を抱えている人が少なくない。現行の結婚に対する忌避の念は、結婚している女性たちの間にさえかなりみられるものである。2021年に朝日新聞社が実施した「夫婦別姓に関する聞き取り調査」は、結婚に係る古い意識や慣習が根強く残っていて女性を苦しめている地方圏の実態を鮮明に示している。

◎ 婚約者の両親に初めてお会いした時、「長男の嫁だから」「子どもはどうするのか? 生まれたらたくさん会わせてほしい」「親戚に早く挨拶しなさい」などと言われ、また、私の家のことを下に見るようなことを悪気なくずけずけと言われました。結納や結婚式も、私や婚約者の希望も一切無視して一方的に決めようとされ、令和の今でもこんなことを言われるのか……とショックを受けています。(20代)

◎ なぜ女性が姓を変えるのが当然なのか。手続きがこんなにも煩雑なのか。なぜ好きな人と一緒になりたいだけなのに、自分が根こそぎ奪い去られるような感覚を抱かざるをえない社会の仕組みなのか。家事をするのはなぜ未だに主に女性なのか。車のディーラーさんは私の車を私の貯金で買いに来たにもかかわらず、夫の方へ向けて主に話すのかなど、結婚してみて現代日本でまだ本当にそんなことがあるのかと驚きました。(30代)

◎ 東京から移り、同世代の人々に浸透する家意識に驚き、違和感を強く抱いた。子どもが生まれたら名付けの権利は男親の実家にある。妻の実家は何かにつけて発言権が弱い。そういうものだと当然のことのように話しているし、自らも他人も既婚の女性は「嫁」と呼ぶ。(40代)

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