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シングル化を招く「柔軟性のない結婚と家族制度」 地方圏で根深く続く「伝統的結婚慣習や家意識」

東洋経済オンライン / 2024年5月20日 9時0分

地方圏において根深く続く伝統的結婚慣習や家意識は、20代の女性にも影響を及ぼし、受け入れがたいものとして感じられていることが伝わってくる。少子化の第一の原因が非婚化にあることが明らかになった近年、とくに、伝統的家族規範が残り、また深刻な人口減が続く地方圏では、結婚への圧力がより一層強くなることが予想される。

地方圏から東京区部へ移動する人々の心の中には、結婚の画一性からの脱却とライフスタイルの多様性への渇望があり、そうした考えを許容する環境が大都市圏にはある。彼女たちにとって東京区部はアジール(避難所)であり、それは今後も続くことが予想される。しかし……。

親との親密圏に向かうミドル期シングル

一般的に親密圏には変化のきざしが見られるとはいえ、依然として制度中心的な関係性が強く、家族制度や結婚制度から外れる親密な関係性が広まっているとはいえず、承認・保護する度合いも弱い。ミドル期シングルの女性は男性より、ひとり暮らしに適応し満足している。

というのは、女性はひとり暮らしに伴う経済的不安、孤独、犯罪に巻き込まれる不安、病気の不安を男性以上に感じやすい分、親やきょうだいと頻繁に連絡をとって、親子関係を軸に親密圏を築いている。しかも、友人や知人の数は男性を上回っていて孤立状態にある人がより少ないからだ。

このように、シングルの親密圏には、親やきょうだいの存在が西洋諸国より大きい。このように、結婚の柔軟化・多様化が進みにくく、親密圏が制度的家族を超えて広がりにくいことが、非婚者の増加をもたらしているのだろう。

また、家族に代わる多様な住まい方(コレクティブハウス、シェアハウスなど)も発達しにくく、未婚者、離婚者、ひとり親の多様な居住スタイルが発達していないことも、シングルの孤立化を招きやすい。これも家族中心文化と関係しているはずである。

1960〜70年代生まれ以降のミドル期世代は、結婚したら親と同居しなくなり、直系家族制規範に基づく家族形成をしなくなった人々である。しかし核家族に代わる新たな家族形成規範は生まれなかった。結婚をせずにシングルの道を歩んでいるのはその帰結だろう。その結果、非家族的親密圏も中間圏も広く形成されている状態にはなく、シングルは孤立するリスクを抱えている。

西洋諸国の多様化する親密圏

西洋諸国では、1960年代後半から離婚へのスティグマがなくなり同棲も広がった。やがて、事実婚、同性婚、国際結婚、移民結婚など、個人が選択して作る親密なパートナー関係を国家が承認・保護するという道筋で親密圏が拡大してきた。ステップファミリーやひとり親家庭等も、家族の一形態として市民権を与えられ、公的支援が得られやすくなっている。

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