実は「世代間ギャップが大きい国」だった日本 「ジャパン・アズ・ナンバーワン」幻影からの脱却
東洋経済オンライン / 2024年5月20日 9時30分
確認的に記すと団塊世代とは、一般的には1947~1949年(特に出生数の多かったいわゆるベビーブームの時期)に生まれた世代を指すが、ここでは(たとえば1950年代半ば生まれまでを含む)もう少し幅広い範囲でとらえている。この場合、医療や介護の分野の議論で以前から「2025年問題」ということが言われており、その趣旨は“1950年生まれの世代、あるいはその前後をなす団塊世代が(「後期高齢者」とされる)75歳前後の年齢を迎え、その結果、大規模な「介護需要」が発生する”という意味である。いずれにしても、こうした年齢になると通常の意味での“社会の一線”からは退いていくことになるので、社会に対する影響力は薄まっていくことになるだろう。
ちなみに、かつて「2007年問題」ということが言われた時期があったが、それは(やはり団塊世代を象徴する)1947年生まれの人々が60歳つまり定年退職の年齢を迎え、その結果として大量の退職者(や技術の承継が途絶えるおそれ)が生じるという趣旨のものだった。
その意味では、“団塊世代的”な価値観や行動様式の影響力が小さくなることはこの頃(2007年)から始まっていたわけだが、しかし一方、企業ないし経済界、そして政治等の世界の“上層部”あるいは日本社会の“中枢部”においては、かなりの高齢層(60代後半~70代ひいては80代)の人々が意思決定の枢要なポジションを担っているのが現実であるため、近年に至るまで――あるいは現在においてなお――“団塊世代的”な価値観は日本社会の基本的なありようを強く方向づけてきたのである。
こうした点については、後編であらためてさらに考えてみよう。
広井 良典:京都大学 人と社会の未来研究院教授
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