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両親の自己破産で「奨学金225万」借りた女性の顛末 金銭的理由で志望校断念も、それでも求めた「大卒」

東洋経済オンライン / 2024年5月22日 12時0分

話を聞いた女性は、入学金の事前振り込みで入学を諦めた過去や、夜間部が現在、なくなりかけていることから、大学側に変革してほしい部分もいくつかあるという(写真:genzoh/PIXTA)

これまでの奨学金に関する報道は、極端に悲劇的な事例が取り上げられがちだった。

たしかに返済を苦にして破産に至る人もいるが、お金という意味で言えば、「授業料の値上がり」「親側におしよせる、可処分所得の減少」「上がらない給料」など、ほかにもさまざまな要素が絡まっており、制度の是非を単体で論ずるのはなかなか難しい。また、「借りない」ことがつねに最適解とは言えず、奨学金によって人生を好転させた人も少なからず存在している。

そこで、本連載では「奨学金を借りたことで、価値観や生き方に起きた変化」という観点で、幅広い当事者に取材。さまざまなライフストーリーを通じ、高校生たちが今後の人生の参考にできるような、リアルな事例を積み重ねていく。

「中学生のときに両親がそれぞれ自己破産してしまいました。必然的に私の大学進学のためにお金を回すことは不可能になったため、奨学金を借りることになります」

【写真】日本学生支援機構と裁判、「奨学金1200万円」36歳彼の願い

両親がそれぞれ自己破産、その理由は…

そう語るのは、栗原つむぎさん(仮名・42歳)。関西出身で下には妹がいる4人家族だ。両親それぞれが自己破産というのも、滅多にないことだが、その背景にはいったい何があったのだろうか?

「父は町工場で工場長、母は経理の仕事をしていましたが、もともと裕福ではなかったです。幼い私が見てわかるほど、家にお金がないということは感じられました。

そのような環境に嫌気がしたのか、ある時、母が会社のお金を着服してしまったんです。

案の定、それがバレて裁判にまで発展したのですが、最終的に父が横領した額と和解金を肩代わりすることで落ち着きました」

そして、時は世紀末。バブル崩壊の煽りを受けて、栗原さんの父親の会社もご多分に漏れず、経営難に陥ってしまう。

「借金返済催促の電話がしょっちゅうかかってきましたが、両親からは『出るな!』と言われたほどです(笑)。そして、私が高校生のときに両親は離婚。私と妹は父に付いていきます。高校生ですが、家族3人、ご飯とふりかけだけで食い繋ぐ時期もありました」

そんな懐事情のため、栗原さんは高校入学早々、飲食店でアルバイトに励むことになる。ところが、人生は思い通りにはならない。

「中学生のときに腎臓を悪くしてしまったのですが、それが再発してしまい、高校1年生の夏休みに入院することになりました。必然的にバイトも辞めなくてはならなかったのですが、退院後に新しいバイト先を探そうと思っても、面接で正直に入院していたことをいうと、毎回不採用になってしまいます」

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