「親が怖くて指導できず」底辺校教師の悲痛な叫び 東海地方で30年働く先生が語った事(第4回)
東洋経済オンライン / 2024年5月23日 7時50分
学力が低く、授業についていくことができない「教育困難」を抱える生徒たちを考える本連載。今回お話を伺った鈴木先生(仮名)は、東海地域で30年以上高校教員として働くベテラン教師です。鈴木先生の高校は、偏差値40以下の私立高校であり、昔も今も「教育困難な生徒」=「勉強がなかなかできない生徒」が多く通っています。
そんな先生の目から見ると、昔よりも現在のほうが、さまざまな意味で「深刻な」問題を抱える生徒が多くなっているのだそうです。自身も15年前に「教育困難」校を卒業した濱井正吾氏が教育困難校の先生の働き方の変化について話をうかがいました。
教育困難校の働き方も変化
昨今、全国の教育現場で長時間労働が常態化し、過酷な労働環境であることが問題視されるようになった結果、文部科学省は「教員の働き方改革」を推進するようになりました。
その動きの中で、現在「教育困難校」の教員たちの働き方は、過去と比較して、どのように変化しているのでしょうか。
東海地域で30年以上、偏差値40以下の「教育困難校」の高校教員を務めている鈴木先生に、1事例として、そうした疑問の数々を尋ねてみました。
鈴木先生は、30年以上の長い教員生活の中で、高校の教員の働き方も大きく変わってきたと言います。
「私が働く学校に限った話かもしれませんが、今は昔と比べて、労働環境はよくなったと思います。『教員の労働環境がブラックだ』というのが大きな問題になった結果として、労働時間自体は減っています。
例えば昔は休日に先生向けの研修会に行って、平日はずっと生徒の相手をしていました。夜遅くまで学校に残って、つきっきりで生徒対応をすることも少なくありませんでした。
それが、残業の規定が生まれたことで、休日朝から晩までの勤務や21時22時を過ぎてまでの残業も大きく減りました。ただ、それはうちの高校が一般企業と同じ給与ルールになり、残業も時給換算して上限まで払ってくれるようになって、働き方のバリエーションが増えたことが大きいと思います」
「多くの学校は今まで通りだと思うので、保護者対応や業務が増大していると思いますが」との前置きされたうえで、鈴木先生の学校では「労働環境自体は昔と比べてよくなった」と語ります。教員の働き方改革は、現場で一定の成果が出ているとも捉えられる一方で、それによって新たに生まれた問題についても教えてくださいました。
密なコミュニケーションが大きく減った
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