1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

ホテルメッツ、宿泊者も気づかぬ「超地道な改善」 快適を極める「引き算」の妙、3つの点から探る

東洋経済オンライン / 2024年5月23日 7時20分

他方、サービス面ではコロナ禍から、スタッフによるチェックインをなくした。現在、1軒をのぞく24ホテルに自動チェックイン機が配備されており、不明点があれば近くにいるスタッフか、不在時はモニター越しにインフォメーションセンターでリモート対応する。

その導入理由はもちろん省人化、だけではない。「DXを推進することでサービス効率を上げ、人にしかできないサービスに注力することが主目的です。より快適な時間を提供する仕組み作りの一環なんです」(斎藤氏)。

快適に必要と判断して「なくさない」ものもある。客室に設置するミネラルウォーターや、ロビーに設置する無料のコーヒーマシンだ。

この「なくす」「なくさない」の選択基準になっているのは、クチコミやアンケートの声。一つひとつを精査し、声が多いものは、まず1ホテルで実験的に減らしたり増やしたりして様子を確認する。そして好評であれば、チェーン全体に展開している。

街の記憶を宿すデザイン

2つ目の改善は、客室デザインだ。

近年、インバウンドの増加で客室単価が上がっていることもあり、室内をラグジュアリーなデザインに改装するビジネスホテルも多い。だがホテルメッツの客室が目指すのはあくまでも快適性だ。表面的な華やかさではない。そんな思いから生まれたのが、明るくナチュラルで、地域に特化したテーマに沿ったインテリアデザインである。

たとえば、『JR東日本ホテルメッツ五反田』は昔田畑が広がっていた地域のため、テーマは「田んぼ」。外観やロビー、客室の至るところに、田んぼをイメージしたスクエア枠が取り入れられている。

一方、『JR東日本ホテルメッツ横浜桜木町』は元々旧横濱鉄道の駅舎だった場所にある。そのため、テーマは「鉄道」だ。廊下のカーペットが線路柄になっていたり、現代の桜木町駅の写真が飾られていたりする。ただ、いずれもごくさりげないため、地域との関連性に気づかないゲストも多そうだ。

「ホームページで少し説明しているホテルもありますが、知らずに訪れても、ほんのり心地よく、土地や街の雰囲気を感じていただけたらと思っています」と堀田氏。

これらのデザインは、テーマに合わせてデザイン会社が提案するそうだが、凝りすぎると機能性が弱くなり、家具が壊れやすいなどのリスクも。その回避のため、使い勝手や耐久性についてはホテルから意見を積極的に出して、一緒に客室を作り上げている。

「私たちのゴールはあくまでお洒落さではなく、快適性と居心地の良さですから」と堀田氏は言う。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください