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ホテルメッツ、宿泊者も気づかぬ「超地道な改善」 快適を極める「引き算」の妙、3つの点から探る

東洋経済オンライン / 2024年5月23日 7時20分

「ホテルメッツは快適性を第一としていますが、それには、安心安全がないと成り立ちません。コンセプトである『上質が息づく』の土台とも言えるものです。安心安全が前提としてあるからこそ、リピートしてくださるお客様がいて、夜勤者を含めたスタッフの不安解消、心理的安全にもつながっているのではないでしょうか」(堀田氏)

では、どのように安心安全を実現しているのか。これもまた地道な努力だった。消火訓練、防犯訓練の繰り返し、緊急時のマニュアル整備。ハード面では、防犯ブザーや監視カメラの設置……。いずれもゲストに見せたり訴求することはない。でも、「いざというときにしっかりと対応できる準備を怠っていません」と斎藤氏。

これに堀田氏は、「目に見えにくいところですが、清潔も安心安全につながっているのではないでしょうか。客室に汚れているところを見つけたら、その空間に安心感は持てません。でも清潔であれば不安要素がなくなり、人はくつろぎを感じやすくなります」と補足する。

続けて、ホテルメッツの代名詞とも言える「駅近」も安心安全の一つだ、と堀田氏。知らない街で危険なエリアに足を踏み入れたり、疲れているのに長距離を歩かねばならないリスクを回避しているのだ、と。

創業から今年で30年を迎えるホテルメッツ。最後にこれからについて尋ねると、「これまで同様、お客様の声をしっかり聞いて、変えるべきもの、変えないものを精査していきたいですね」と堀田氏は背筋を伸ばした。

それでも「駅近を知ってもらえれば十分」

しかし、ゲストに対して伝えたいことを聞くと、「とにかく、ホテルメッツは駅近というところがわかってもらえたらいいです」と控えめな答えが返ってきた。

目に見えにくい快適を最重要視するホテルメッツの姿勢。「清潔感があった」というクチコミは、それが氷山の一角として表出したものだった。そして、それらの根底にあるのは、安心安全だ。

ホテルメッツに寄せられる声には、「なんだか居心地が良くて、また使いたいと思った」「何も不満を感じない、いいホテルだった」といった声も多い。消極的な褒め言葉だが、それこそが快適に過ごせた証拠ではないだろうか。

取材の最後に堀田氏は「ホテルメッツのブランドコンセプトについて、表立ってお話しする機会がなかったのでうれしかった。ありがとうございます」と謝辞を述べた。この謙虚な言葉に、ホテルメッツの見えざる魅力が凝縮されている。

笹間 聖子:フリーライター・編集者

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