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ホテルメッツ、宿泊者も気づかぬ「超地道な改善」 快適を極める「引き算」の妙、3つの点から探る

東洋経済オンライン / 2024年5月23日 7時20分

こだわりのバスタイム

改善の3つ目は、バスタイムだ。

実は1994年、ホテルメッツの創業時のコンセプトは、「駅近かつ、足が伸ばせてゆっくりくつろげるバスタブがある」だった。これを今でも守り、大浴場を設けたビジネスホテルが増えるなかで、ホテルメッツは客室での入浴スタイルを貫いている。そして、ゆったりとくつろげるバスタイムへの改善を続けているのだ。

たとえば設備面では、2018年以降は構造的に不可能でない限り、バス、トイレ別で、独立した洗面所を設けるレイアウトへ改装を進めている。アイテムで言うと、アメニティステーションに「眠りやすくなる効能」を謳ったものなど、リラックスできる複数の入浴剤を用意。

上位ブランドの『JR東日本ホテルメッツ プレミア 幕張豊砂』では、「バブ」や「日本の名湯シリーズ」といった入浴剤もあるそうだ。

入浴剤について、バスタイムにこだわるなら、オリジナル入浴剤を作ってもいいのでは?と問うたところ、「オリジナル入浴剤はあっても良いと思うものの、現状では、ひと目でゲストがわかる有名メーカーや温泉の安心感を選んでいます」という答えが返ってきた。

バスタブも同じ理由で、TOTOやLIXILなど、信頼のある大手ブランドの規定を遵守したものから選んでいるとのこと。備品の選び方ひとつとっても、地道だ。

ホテルメッツの改善は、なぜこんなに地道なのだろう。その理由は、JR東日本というホテルのルーツにありそうだ。インフラ企業ならではの穏やかな風土が、奇をてらわずどっしりとした企業姿勢になっているのではないか。 

少し歴史を遡ると、ホテルメッツを運営する日本ホテルの起源は、1915年、東京駅開業翌年に誕生した『東京ステーションホテル』にある。その後、1985年 に池袋に『ホテルメトロポリタン』を開業、1994年にまだ別会社だった国分寺ターミナルビルが『ホテルメッツ久米川』を開業したのがメッツブランドのスタートだ。

子会社がやがて合流、息づくJRの魂

これらのホテルはJR東日本の子会社で、駅ビル関係の会社がバラバラに運営していたが、2005年に東京、神奈川、千葉にあるJR東日本系列ホテルを吸収統合する形で日本ホテルが発足。『東京ステーションホテル』『ホテルメトロポリタン』と共に、首都圏25のホテルメッツの運営を任された。

そのルーツから、「JR東日本という鉄道会社の根幹にある安心、安全性を追求する姿勢が、連綿と受け継がれている」と堀田氏は説明する。

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