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原宿に爆誕「ハラカド」訪れた私が呆然とした理由 「センスのいい若者」を呼び戻す野心に満ちている

東洋経済オンライン / 2024年5月23日 12時0分

実は今書いてきたような特徴は、特に、現在の若い人々が都市の中で行き当たっている問題を解決してくれているともいえる。

このところ私は、若い人の行動や、あるいは都市の様子を眺めながら、「せんだら需要」という言葉を提唱している。これは「1000円でだらだらできる場所に対する需要」のことで、例えば、カフェなどが流行しているのは、この一つの現れだと書いた。特に都心では、「せんだら」できる場所が減っていて、もっとも手軽な「せんだら」消費ができる場所としてカフェが選ばれているのではないか、という仮説だ。

興味深いのは、ハラカドはこうした「せんだら」需要に確かに応えるものだということだ。4Fの広場もそうで、全体として座る場所が多く、そこで無料で時間を潰すことができるし、なんならスマホの充電をすることもできる。

その意味で言えば、こうした「貴族の遊び」は、ハラカドに若い人を呼び込むことになりそうだ。

先ほども書いた通り、ハラカドはかつての「原宿セントラルアパート」のように若いクリエイターたちが集まり、新しいカルチャーを創造する場所を目指している。「若者の街」としての原宿の地位向上を目論んでいる、というわけだ。

その意味でいえば、こうした施設の狙いは、ある種の「貴族の遊び」で解決できることになる。ハラカドは、ある種の「余白」で、若い人を呼び込むことに成功しそうだ。

若者を呼び込んだうえで、「選別」もしている?

しかし、私がここを訪れて感じたのは、むしろ、そのようにして、多様なさまざまな人を呼び込んでいるように見えて、実は、ハラカド自体が、かなり、そこにマッチする人を「選別」しているようにも思えること。そこにもう一つの「貴族の遊び」感がある。

先ほども書いた通り、そこに入っているテナントは、現代の人々に馴染み深いものではない。どこかエッジの利いたようなラインナップが揃っている。

例えば、2・3Fにある「COVER(カバー)」というギャラリーは、普通の若者が立ち入るには、ちょっと勇気がいるような空間だ。

公式サイトによると「出版社からの提供および一般の方からの寄贈で集まった約3,000冊を超える雑誌が集まる雑誌ライブラリー」で、『ガイアの夜明け』でも密着されていたのだが、なかなかエッジが利いている。

例えば月替わりで開催されるという企画展第1弾は、「約50誌の雑誌創刊号を展開」するというもの。

「今の時代に、雑誌の創刊号を好む若者がどれだけいるのか?」「プロデュースする会社(日販の子会社)の都合が出過ぎてないか?」……というツッコミはさておき、「選別」には良さそう。雑誌が読まれなくなっている現代において、その創刊号に興味を持つ若者は、相当に文化的だからだ。

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