原宿に爆誕「ハラカド」訪れた私が呆然とした理由 「センスのいい若者」を呼び戻す野心に満ちている
東洋経済オンライン / 2024年5月23日 12時0分
これはあくまで企画展だが、無料の空間に行くためには、そうした、ある種の背伸びが必要な空間をかき分けて、行く必要がある、ということだ。加えて、インバウンドの外国人も多いし、ちょっと怖い。ある種の間口の狭さがハラカドにはある。
でも、こうした「選別」を、私は全く悪いものだとは思わない。むしろ、「原宿セントラルアパート」のように、一流のクリエイターたちが集まり、そこをカルチャーの拠点にしていくためには、ある種の「選別」が当然必要だろう。
原宿には、かつて日本ではじめてのクラブである「ピテカントロプス・エレクトス」があった。そこには、YMOをはじめとする、1980年代の文化人たちが多く集った。劇作家としても知られる宮沢章夫は、「(ピテカントロプス・エレクトスに)足を踏み入れると、奇妙な緊張感がある。なにか、敷居の高さみたいな」と表現している。「ださいやつは来るな、という閉鎖性があった」とも言う(『東京大学「80年代地下文化論」講義』)。
しかし、宮沢はそれを否定的には捉えていなくて、むしろそのような「選民性」があったからこそ、そこはカルチャーの中心地として流行したのだという。同じ原宿に居を構えた「原宿セントラルアパート」もまた、同じような空気感が漂っていたのではないか。
思えば、カルチャーがそこで芽生えるためには、ある種の「選民思想」が必要なのかもしれない。初期のヴィレッジヴァンガードもそうだ。創業者の菊地敬一は「センスの悪いやつは相手にするな」と言い切った。むしろ、その特権意識こそ、ヴィレヴァンをヴィレヴァンたるものにしていた。
「余裕」と「選別」が文化を作る
このように思うと、ハラカドが持っている、ある種の「貴族の遊び」っぽさは、同時に、そこに訪れる人を「選別」することにもつながり、ひいてはそれが、ハラカドを「カルチャーの場所」にしていくのかもしれない。
まとめると、こういうことになるだろう。
「ハラカドは、昨今の商業施設トレンドに逆行する、余白や余裕を感じさせる場所で、現代の都市には貴重な滞留空間になりうる。しかし、その一方で、“センス”によって若者をしっかり選別しており、原宿を文化の発信地に回帰させようという野心が感じられる」
昨今、渋谷や原宿から若者が消え、新大久保などに大移動しているという。
そんな逆境にあって、ハラカドは、日本のカルチャーの拠点になるか。そして、原宿に若者を、とくに「センスのいい若者」を呼び戻すきっかけになるのか。
今後の展開に期待だ。
谷頭 和希:チェーンストア研究家・ライター
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