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戦時に毒ガスを研究「ウサギの島」まさかの実態 戦時中の痕跡があちこちに残っている

東洋経済オンライン / 2024年5月24日 11時30分

「有田さん ゆりちゃん お父さん」

無数のハートマーク(ハートの中にイニシャル)や実名が書かれた相合い傘があった。

こういう施設の落書きを見ていつも思うのだが、落書きで恋愛していることを書いてなんになると思ってるんだろう? 末永く恥をさらしているだけに思えるけどなあ。皆さんは絶対に落書きはしないでね。

ゲームの世界に出てきそうな雰囲気の毒ガス貯蔵庫跡

海沿いの道をてくてくと歩いていく。

始発で来たこともあり、人はほとんどいない。あいかわらずウサギがヒョコヒョコと集まってきてかわいい。

そして見えてきたのが、おそらくこの島でもっとも大きい施設である、長浦毒ガス貯蔵庫跡だ。島内最大の毒ガスの貯蔵庫だったそうだ。

この建物はものすごくかっこいい。頑丈なコンクリートで作られているが、老朽化で一部は剝げ落ち、苔やカビで黒く汚れている。ツタが建物の表面をまるで血管のように走っている。

ゲームの「ワンダと巨像」とか「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」とかが好きな人にはたまらない雰囲気だ。施設を眺めていると思わず、ツタに手をかけて、グイグイ登って行きたくなる衝動にかられた。

要塞砲台や兵器の制作に使われた施設

海辺を超えていくと、さらにたくさんの施設が見えてきた。

やはり堅牢な施設なのだが、レンガや石垣で作られている。長浦毒ガス貯蔵庫跡と比べると古い建造物な気がした。

これらの施設は、第2次世界大戦前の、明治時代に作られた施設らしい。艦隊の攻撃にそなえ、沿岸要塞砲台を設置していたのだ。

毒ガス島になってからは、施設を改装し、貯蔵庫として使用していた。

山道を登っていく。普段の不摂生がたたって、かなりしんどい。

島内の地図を見ながら歩いていたのだが、立ち入り禁止になっている場所がとても多かった。展望台や中部砲台跡に進む道も立ち入り禁止でとても残念だった。老朽化による崩落の危険などあるかもしれないが、もうちょっと見られるようにして欲しい。

最後に見えてきたのが発電所跡だ。黒ずんだコンクリでできたかなり大きな施設だ。外から見ると3階建だが、建物内は階層わけされておらずかなり広々した空間になる。当時はディーゼル発電機が8基設置されていたらしい。現在は全部取っ払われてしまっている。

建物の外にはほとんど消えかけているが英語で表記がしてあった。米軍に押収されている時代に書かれたものだろう。

この建物は「ふ号作戦」に使用される兵器の制作にも使われていたという。「ふ号作戦」とは、気球に爆弾を乗せて、ジェット気流を利用してアメリカまで飛ばしてアメリカ本土を空襲するというトンデモ兵器である。実用されたが、ほとんど戦果は上げることができなかった。

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