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北大阪急行電鉄「箕面延伸」はこうして実現した 地元待望、大阪メトロ御堂筋線と一体直通運転

東洋経済オンライン / 2024年5月24日 6時30分

ちなみに箕面市の東端、茨木市との市境付近には、下って1998年10月、大阪モノレール彩都線万博記念公園―阪大病院前間、次いで2007年3月に阪大病院前―彩都西間が開業(駅は吹田・茨木市域)している。したがって現在、阪急箕面線から大阪モノレール彩都線まで約6kmの間には、主要な南北軸が複数並ぶ姿となっている。

箕面市は市街中央部の萱野を新都心と位置付けており、ショッピングモールにしても今回の延伸に合わせた開業ではない。もちろん路線計画があっての進出ではあるが誕生は2003年で、すでにランドマークとしての存在感を示していた。なお、「キューズモール」の名が示すところ、そのデベロッパーは東急である。

また、箕面萱野へ向けて列車が高架線に上がると、千里中央までのように大規模マンションやオフィスビルに囲まれる光景ではなく、市街地が広く見渡せるので、その違いにも驚かされる。それはもともと阪急箕面線沿線が職住分離の理想的郊外住宅地として育まれたことに起因し、箕面市は乱開発を避けるために制限を設け、自然環境ゆたかな市域全般に高層建築を許容していない。そのため、住宅地は戸建て中心に平面で広がることになったのだ。

一方、「北大阪急行線延伸事業」が具体的に動き始めたのは、2004年の近畿地方交通審議会第8号答申になにわ筋線などと合わせて登載されてからである。ただし、登載に至るには事前の活動がある。中心となったのは箕面市だ。

市は、市街地が東へ長く広がるのに阪急箕面線以外に鉄道はなく、バスに頼る格好であった。バスは熊手状に千里中央に集中するので南北交通ばかり過度に集中し、東西軸の公共交通が乏しく、府下平均に比べてマイカー依存率が高かった。それを課題として、東西の真ん中である萱野への鉄道延伸を1985年の市の総合計画に採択した。萱野を新たなターミナルとし、東西両方向へのバス交通を充実させるとのシナリオだ。

これを受けて1989年の運政審第10号答申に「2005年までに整備に着手することが適当な路線」として登載された。しかし、実際は箕面市が延伸検討委員会を設けたのが2005年となり、以後、路線延伸の意義、需要や収支予測、事業スキームなどを検討、2008年4月に大阪市、箕面市、阪急、北急の4者間で協力し合う旨の覚書を交わした。

全額公費とするため立体交差の路面電車に

鍵を握るのは阪急の姿勢と言えた。北急も阪急阪神ホールディングス傘下の企業とは言え、阪急バスの牙城を崩す新たな輸送機関の出現であり、そして箕面線や千里線への影響も避けられない。そのような立場から、一帯のバス路線網を堅持することと、路線を再編して街の発展による成果を期待することが天秤に掛けられた結果、事業には協力するという選択をした。その姿勢は整備費の負担からもうかがえ、北急が受益分を負担する以外の部分についてはすべて国と地方が分担し、阪急は直接的な出資は受け持たない。このような取り決めで2014年3月に4者で基本合意を交わし、2015年12月に都市計画決定、鉄道事業法許可、軌道法特許を取得、2017年1月に起工式を行った。

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