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北大阪急行電鉄「箕面延伸」はこうして実現した 地元待望、大阪メトロ御堂筋線と一体直通運転

東洋経済オンライン / 2024年5月24日 6時30分

延伸区間の準拠法は千里中央―箕面船場阪大前間が鉄道事業法、箕面船場阪大前―箕面萱野間が軌道法である。正確には箕面船場阪大前の南側、豊中箕面市境で分かれる。この特殊性は補助金の関係から生じた。

北急のような地下を主とした都市鉄道を整備する際、従来は国の地下高速鉄道整備事業費補助が適用されてきた。ただ、その補助率は対象事業費の35%以内と規定されている(公営・準公営および東京メトロが対象で、地方公共団体からの補助額の範囲内)。だが、それでは鉄道事業者の負担がなおも大きく(国35%、地方自治体35%、事業者30%)、障壁になっていた。そこで今回、箕面市は、国の補助率を50%にできる、すなわち地方の協調補助と合わせて全額を公費負担にできる、社会資本整備総合交付金制度(2010年度に創設)をこの案件で活用できないかと国に提案した。

ただし、この社会資本整備総合交付金は“まちづくり”に充当することを前提に、自治体が管理する道路建設には適用できるが、“鉄道”は補助対象ではない。そこで、近年のLRT整備の手法を用い、電車の走行空間を特殊街路に位置付けて確保する。だから、道路を走る電車として軌道法の適用を受ける。さらに、その路面電車は他の自動車や歩行者の通行の妨げとならぬよう立体交差とする。

市と国が協議を重ねた結果、こうした取り扱いが認められて全国初のケースとして適用され、延伸事業の実現に至った。そして、このロジックに基づいて箕面市の区間は、インフラ部であるトンネルや高架橋の実体部分はすべて国の補助を受けた市の負担で整備された。これにより北急として整備する範囲は限定的(線路設備、駅の建築や内装、駅設備など)になり、北急の支出は抑制されて採算性が成り立つという仕組みである。なお、対する箕面市外の区間は、箕面市が「市道」を建設するわけにはいかないので、北大阪急行が主体となって「鉄道」として整備した。

箕面市が事業の中心的な存在に

整備費の総額は874億円で、建設費811億円、延伸に伴う3編成増備の車両費が63億円の内訳。この総額において、北急は受益範囲内の額として110億円を負担し、これ以外の764億円を国と地方で協調補助として折半、382億円ずつとしている。そしてその地方分については箕面市の負担が282億円、残る100億円を大阪府とした。箕面市内区間のインフラ部整備を全面的に受け持った箕面市の負担が目立ち、取りも直さず事業に対して中心的な存在を表す。

新設2駅の乗降者数は1日約4万5000人と予測、北急全体の輸送人員は千里中央までだった従来の1日14万人に対し、およそ18万人になると見込む。新駅の乗降者数は、初期効果や年間効果とともに上方修正している。また、バス路線は多くの路線が箕面萱野駅発着に再編され、千里中央―萱野間が廃止となる分、働き方改革や人材不足といった昨今の状況下でも営業区間のサービス維持につながった。

鉄道ジャーナル編集部

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