東大名誉教授が教える「物価上昇」続く根本原因 よいインフレ・悪いインフレの決定的な違い
東洋経済オンライン / 2024年5月24日 15時0分
昨年からの歴史的な物価高が続き、1ドル=160円台の超円安や日経平均株価の最高値更新など、日本経済が大きく揺れ動いています。特にインフレは私たちの暮らしを直撃し、食費や生活費を節約するようになったという人も少なくないことでしょう。「物価が上がること自体は悪くない」と話すのは井堀利宏・東大名誉教授。では、よく言われるよいインフレと悪いインフレとは何が違うのでしょうか。書籍『超速・経済学の授業』から、インフレの基本を3分で理解できる講義を一部抜粋します。
NETFLIXから見る需要と供給
突然ですが、皆さんは動画配信サービスの「NETFLIX」を利用したことがありますか?
生徒 はい、家や電車などの移動中に映画やドラマを観たことがあります。
NETFLIXはインターネットを通して、好きなだけドラマや映画を視聴できる月額料金制の動画配信サービスです。同社は2015年に1026円だったスタンダードプランを2021年には1490円にするなど、6年間で45%程度の値上げをしました。
一般的に45%も値上げするのはかなり強気といえます。しかし、経済学の視点で考えれば納得のいく説明ができます。
まず、あるモノに対して欲しいと思う量を「需要」といいます。NETFLIXにおける需要は、視聴者が観たいと思うコンテンツ量のことです。一方、そのモノが世の中に出回る量のことを「供給」といいます。NETFLIXでは提供しているコンテンツの量を指します。
需要と供給とは
需要......欲しいと思う量
供給......世の中に出回る量
NETFLIXが値上げした理由はこの需要と供給によって説明できます。値上げのきっかけは会員数の増加にありました(=需要の増加)。人によって見たいコンテンツはさまざまなため、会員数が増えれば、魅力的なコンテンツを多数提供する必要が生じます。
ただ、コンテンツの数を増やすなどサービスの質を高めるためには資金が必要です。そこでNETFLIXは値上げを実行し、得た資金で新たに投資。多数のコンテンツの供給を実施しました。
つまり、NETFLIXは増加した需要に合わせて供給も増やすために値上げを実施したわけです。供給を増やすためには、新たな投資をするためのお金が必要だからです。このように需要が供給を上回ると、一般的にモノの値段は上がります。
スーパーマーケットから見る需要と供給
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