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中国政府の「不動産買い取り政策」は簡単ではない 6年ぶりの「上海ウォッチング」で考えたこと

東洋経済オンライン / 2024年5月25日 8時30分

などと、今回は短期出張の見聞ベースの話が多くなるのだが、中国経済といえばやはり不動産問題に触れないわけにはいかない。中国の大手不動産ディベロッパー、恒大集団や碧桂園が経営破綻しているのはご案内の通りだが、4月に中国広東省・深圳に本拠を置く万科企業が格下げになったことが注目されている。同社は政府系なので、「いよいよ不動産問題の解決に向けて、中央政府が重い腰を上げるのではないか」との観測が飛び交っている。

不動産買い取りは、やっぱり一筋縄ではいかない

「7月に開催されるという三中全会において、政府による不動産買い取り策が論じられる」との期待もある。売れ残り住宅を政府が買い上げてくれるのなら、ようやくこの問題にも薄日が差すというものだ。しかるにその場合に生じるのは、1990年代日本の不良債権問題を記憶している人にとっては、馴染みのある「懐かしい」選択となる。それは買い取り価格をどうするかという問題だ。

仮に在庫の住宅を簿価で買い取るとなれば、ディベロッパーは大助かりだろうが、膨大な財政資金が必要となるし、「悪徳業者を救うのか」との世論の反発も覚悟せねばならない。逆に時価で買い叩くならば、財政資金は少なくて済むけれども、不動産業者にとってのメリットは小さい。むしろ実勢価格が明らかになることで、「バブル崩壊」という現実を誰もが直視することになる。やっぱりこの問題は、簡単ではないのである。

今回の出張は、上海日本商工クラブさんの公認20周年記念イベントに、講師として呼んでもらったもの。この団体、名前は「クラブ」だが、実態は在外日本人商工会議所組織である。法人会員2162社(個人会員100名)は文字通り世界最大だ。当日は長年にわたる友人である陳子雷教授(上海対外経貿大学)との対談企画もあり、筆者にとってはまことにありがたい機会であった。

中国渡航は「大冒険」にはあたらず、今こそ海外へ出よう

当日の出席者は、来賓も含めて220人。交換した名刺の枚数は膨大なものとなったが、面白かったのは「双日さんの出張者が来てくれたんだから、ウチでも呼ばなきゃ」という声を聴いたこと。最近は中国出張を忌避する人が多くて、駐在員たちも困っているらしい。しかるに上海在住の邦人は3万7315人(外務省、2023年)もいる。あんまり怖がっていては、彼らが気の毒ではないか。

マジな話、筆者も出張前にはいろんな方から、「上海出張ですか。気をつけてくださいよ」と言われたものである。特に「君に必要なのはアライバルビザではなくて、エグジットビザ(出国査証)ではないのか」という某先輩の「ツッコミ」には大笑いしたが、とはいえ、当方もそんな大冒険をしているつもりはない。まるで「ファーストペンギン」みたいに言われるのはいささか心外である。

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