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中山秀征『夜もヒッパレ』に見たプロの仕事術 安室奈美恵らと作り上げた「妥協なき華やかさ」

東洋経済オンライン / 2024年5月29日 16時0分

いまや、テレビを取り巻く環境は大きく変わりました。

でも、魅力的なコンテンツは"憧れ"を感じる現場から生まれるというのは、時代に左右されないエンターテインメントの原則なのではないかと、僕なりに最近考えたりするのです。

大物になると予感させたアーティスト

『THE夜もヒッパレ』からは、MAX、知念里奈さん、SPEEDといった沖縄アクターズスクール出身の新人たちが、次々とスターになっていきました。

中でも、番組初期にブレイクし、一気に時代の頂点へ駆け上がったのが、安室奈美恵さんです。

「秀ちゃんの注目ボード」というコーナーを一緒に担当していたこともあり、「あの安室ちゃんの新人時代って、どんな感じだったの?」と聞かれることも多いのですが、もう、最初から「別格」でした。

はじめてSUPER MONKEYʼSのパフォーマンスを見たときは「衝撃」の一言。まだ大ヒット曲こそありませんでしたが、歌もダンスもあの時代では群を抜くクオリティでした。

特にセンターの安室さんを見た共演者・スタッフの多くが「とんでもない大物になる」と"確信に近い予感"を興奮気味に語っていたのを覚えています。

安室奈美恵さんの天才的な「間」

実は彼女は「トークの天才」でもありました。といっても「しゃべりで笑いを取ってやろう」なんて野心は1ミリも持っていません。彼女の"何気ない一言"になぜか笑ってしまうのです。

たとえば「安室ちゃん、今日は何で来たの?」と聞くと「電車!」と返してくる。文字にするとなんてことはないこのやり取りも、彼女の"間"が抜群だから思わず笑ってしまいます。

しかも最後に、「ヒデちゃ〜ん、東京の地下鉄って複雑すぎてわかんないよ〜」なんて一言を加えるだけで、その言葉が、なぜか立派なオチになってしまうのです。

しゃべりの"間"が面白いのは、ミュージシャン特有のスキルなのかもしれません。ただ彼女は、その"間"が「天才的なレベル」でした。

しゃべらないで、「んー」と言っているだけでも周りが彼女に期待し、次の発言が待ち遠しくなってしまう。

そんな能力を傍で感じていたので、本番で突然、安室さんにオチのセリフを任せる、なんてこともよくやっていました。

彼女はヒヤヒヤしていたかもしれませんが、僕や他の出演者、スタッフにも「安室ちゃんなら、いつ何時、どんな話題を振っても大丈夫」という安心感があったので、台本通りではなくてもカットされることはほぼありませんでした。

突然振られて応える安室ちゃんの一言にスタジオ中が大爆笑、そこにDJの赤坂泰彦さんがカットインして……。天才的で唯一無二の、不思議な魅力の持ち主でした。

安室さんも、MAXも、安室さんの後を引き継いだ知念さんも、皆さんに共通していたのは、歌とダンスはハイレベルなのに、感覚はいつまでも素朴で自然なところ。

僕のことも「芸能界の先輩」というより「近所のお兄ちゃん」くらいの感覚で接して、いつでも「ヒデちゃん、ヒデちゃん!」と呼んで慕ってくれていました。「ずっとテレビで見てたし、ヒデちゃんは『ヒデちゃん』なんだよね!」と。

どんなに売れっ子になっても業界ズレしない彼女たちの"自然な振る舞い"は、時に緊張感も漂うスタジオの空気をいつも和ませてくれました。

実は、楽しい番組を作るためにムードメーカーは欠かせない存在です。彼女たちの振る舞いも、立派な「プロの振る舞い」だったと感じています。

中山 秀征:タレント

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