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8年で11軒閉店「ラーメン屋の墓場」で繁盛した必然 「日本一アンチが多い」店主は何を考えてきたか

東洋経済オンライン / 2024年5月29日 11時40分

そこで4月、すべてのネットアンチの受け皿になるキャラクター「りゅう社長」を誕生させた。

小さなサングラスをかけたりゅう社長がSNSと動画を駆使して徹底的にネットアンチとやり合うスタイルを完成させた。さらに同時に「美味しくなかったら全額返金」企画をスタートさせ、池袋駅前で全額返金チケットをばら撒く作戦に出た。

これをSNS総フォロワー数100万人の「東京コスパグルメ」がInstagramで取り上げ、800万再生と大バズリ。

「バズリ続けるしかない」と気づいた

ついにこの日が来たとりゅう社長が安心したのも束の間、一度増えた客数はすぐに落ち着いてしまい、安定しないことに気づく。客数をうなぎ登りに増やしていくには、バズリ続けるしかないことに気づいたのだ。

ここからりゅう社長は「キャラクター」×「企画」を回し続ける戦略に出る。「美味しくなかったら全額返金」に続き、「コンビニ商品持ち込みOK」「美味しかったらもう一杯」「ゾロ目が出たら1万円」「トゥクトゥクで無料送迎」など奇想天外な企画を次々に打ち出し、「東京コスパグルメ」と“癒着”して企画をバズらせ続けた。

「バズり続けても正直1年間は赤字でした。バズって2週間だけは1日100~150人に伸びましたが、その後すぐに70人ぐらいに落ち着いてしまうんです。酷い時は40人という時もありました。暗いトンネルでしたね」(りゅう社長)

りゅう社長は周りの人気ラーメン店の前に一日中張り込み、集客状況と客層を徹底的に調査した。

大手の手がけるラーメン店が流行っていた池袋西口エリアにおいて、りゅう社長は個人店でしかできない企画を次々に繰り出していった。

「バズることが使命だった」と語るりゅう社長。ひたすらもがき続けた23年6月についに転機が訪れる。「東京コスパグルメ」に加え、「令和の虎」「SUSURU TV.」でも取り上げられ、一気に客数が伸びたのである。りゅう社長はこの「令和の虎」の動画ではじめて「声」を発した。

「他のラーメン界のキャラクターに勝つにはどうしたらいいか考えました。小さいサングラスで目元のインパクトを出すのと同時に、1年間は絶対に動画で“しゃべらない”と決めていました。これまで文字や言葉で勝負をする店主はいましたが、動きや動画を上手く使っている人はいませんでした。

日本語を話してしまうと海外の人たちはついてこないと思ったので、本当のチャンスが来るまでは声を発さないと決めていたんです」(りゅう社長)

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