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「東大生の就職」コンサル選ぶ"身も蓋もない"理由 今と昔で違ってきた「賢い」ということの基準

東洋経済オンライン / 2024年5月30日 16時30分

そうなったとき、問題解決のためにどうにかするのが政治の役目である。個々の会社の利益や個々人の賃金が総体としてベストの状態になるように経済対策を政府が実施していくわけだ。

正社員を全従業者の何割以上にしなければいけない、非正規社員はなるべく雇わないようにするなどの対策が考えられる。そのような「たが」をはめることによって、国全体の景気を沈下させないようにしていく。政府には本来、そういう役割があったはずなのだ。

ところが竹中・小泉路線が始まってから、政府はその役割を放棄した。それどころか政府は「雇用の流動化」などといってリストラを応援するようなことをやり始めた。これもまた日本の景気低迷の大きな原因の1つとなった。

「コンサル」が東大生の人気就職先に

ここ数年、東大生の就職先として、マッキンゼー・アンド・カンパニーなどの外資系コンサルタント会社が人気なのだという。

かつて東大の法学部では、首席で卒業した学生は日本銀行へ入り、次席は大蔵省(現・財務省)へ入るというルートがだいたい決まっていたそうで、三島由紀夫も次席で卒業すると大蔵省に入省している。

三島は1年もしないうちに執筆に専念すると言って退職したのだが、ともかく東大を卒業した優秀な学生は、官僚になるものと相場が決まっていた。

ちなみに、そのとき首席で卒業したのはいいだもも(飯田桃)で、日本銀行に入行したが、まもなく結核で退職し、評論家として活躍した。

ところが最近では、東大生の官僚離れが進んでいるのだと耳にする。官僚は長時間労働の割に給料が少なく、このところの風潮として天下りもやりづらくなっていて、就職先としての旨味がないらしい。

それに代わって人気になったのがコンサルタント業というのだが、これこそ目先の利益を追求する極北の仕事だろう。

その仕事内容は、コストパフォーマンスとタイムパフォーマンスを最適にするやり方を経営者に提案することである。最適というのが何を意味するのかといえば、「次の決算までに会社の利益を上げるとともに、株価を上げるための戦略を練ってアドバイスする」というようなことだ。

実際にやることと言えば、特別に変わった手法があるわけではなく、今あるデータを見て、それを分析していくことが中心だ。

しかし、こういった類の仕事は将来的に、人間がやるよりもAIにやらせたほうが手っ取り早いし確実だということで、職業としてはなくなることも予想されている。今でも自分で調査や分析をするよりは、AIにやらせたほうが効率的だという理由で、AIの出した結論をいくらか手直しして、それを顧客に見せているようなコンサルタントは多いのではなかろうか。

好待遇こそが「コンサル人気」の理由

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