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発達障害同士の会話が「絶望的な結論」に陥るワケ 高校卒業後、5回以上転職を繰り返す30歳男性

東洋経済オンライン / 2024年5月30日 11時30分

ジュンイチさんも地元の高校を卒業後、すでに5回以上転職を繰り返している。自ら辞めることもあれば、解雇、雇い止めにされることもあるという。

ジュンイチさんには長い時間をかけて話を聞いたが、退職や雇い止めなどを繰り返す理由については、いまひとつ理解できない部分もあった。

まずはジュンイチさんの言い分に耳を傾けてみよう。

高校卒業後は正社員として自動車関連の精密機器メーカーに就職したものの、ここでは上司や先輩のパワハラに遭ったという。

「有休を取ろうとすると、僕だけが上司から『なんで休んでばっかりなんだ』と文句を言われました。書類を丸めた紙を投げつけられたこともあります。現場の先輩からは部品をぶつけられたり、『お前がどの通路を通ってきたか、だれと会ったか、どのトイレに何分入っていたのか、全部ばれてるからな』と脅し文句のようなことを言われたりしました」

結局、5年ほどで退職。その後は派遣やパート、障害者雇用で働いたが、いずれも1年ほどしかもたなかった。

派遣で働いた大手自動車メーカー系列の研究施設は「覚えが遅い」という理由で契約期間の途中で解雇された。ジュンイチさんによると「覚えなければならないマニュアルの量が膨大でした」。

ハローワークから紹介され、障害者雇用で働いた公務職場では「日を追うごとに仕事を減らされた」。手持無沙汰の時間が増え、任用期間が満了する前に自ら辞めた。

ジュンイチさんは「ハローワークの相談員には、マルチタスクが苦手という障害特性や、残業がある職場は難しいなどの希望を伝えているのに、まともな仕事を紹介されません。職場は配慮なしの状態で、最後はキツくなる」と訴える。6月にも倉庫内での運搬作業の仕事を雇い止めにされてしまった。

私自身は、発達障害のある人が直面する生きづらさの原因は、定型発達が多数を占める社会の不寛容さにあると考えている。また、パワハラはどのような理由があったとしても、加害者が100%悪い。

ジュンイチさんが経験した、有給休暇の取得を阻むような態度は労働者の権利侵害だし、紙つぶてをぶつけたり、行動を逐一監視しているかのような脅し文句を言ったりといった行為はパワハラとみなされても仕方ない。

ただ取材では、ジュンイチさんが犯したミスや失敗についても話を聞かせてもらう必要がある。例えば、なぜジュンイチさんだけがパワハラのターゲットにされたのか、仕事を減らされることになったきっかけは何だったのか、「覚えが遅い」とは具体的にどの程度のもので、そのことが職場にどんな影響を与えたのか――。

具体的にどんな支援や配慮が必要なのか

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