発達障害同士の会話が「絶望的な結論」に陥るワケ 高校卒業後、5回以上転職を繰り返す30歳男性
東洋経済オンライン / 2024年5月30日 11時30分
当時、ジュンイチさんが働いていた職場でそのニュースが話題になった。ジュンイチさんがある同僚に「ひどい事件ですね」と話しかけたところ、こんな答えが返ってきたという。
「そうか? 俺は植松を賞賛するよ。だってあいつらに金を使うなんてもったいないだろう。そんな金があるなら、俺に回してくれよって思うもん」
診断前ではあったものの、このころから発達障害の特性があるという自覚があったジュンイチさんが「もし僕が障害者だったらどうするんですか」と尋ねると、「ここから排除する」と言い放たれたという。
ジュンイチさんの友人たちが口にするという障害者に向けられたネット上のヘイトスピーチは、ここで記すことがはばかられるほどおぞましい。そして、そのむき出しの憎悪はすでに現実社会をもむしばんでいる。
私は、発達障害のある部下や上司を持ったことでメンタルに不調をきたしたという人たちがいることも知っている。ただ排除されるのはマイノリティの側、発達障害のある人であるケースのほうが圧倒的に多い。
安楽死を口にするまで追い詰められた発達障害の人たちと、障害者を排除しろと主張する一部の人たち。両者の間にある“緩衝地帯”が崩壊したとき、その先に待つ未来はどんなディストピアなのか。
本連載「ボクらは『貧困強制社会』を生きている」では生活苦でお悩みの男性の方からの情報・相談をお待ちしております(詳細は個別に取材させていただきます)。こちらのフォームにご記入ください。
藤田 和恵:ジャーナリスト
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