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セブン&アイが北米責任者に「年77億円」払う理由 業績連動で膨張、報酬額は井阪社長の22倍に

東洋経済オンライン / 2024年5月30日 7時0分

(編集部撮影)

セブン&アイ・ホールディングスの取締役専務執行役員である、ジョセフ・マイケル・デピント氏の2023年度役員報酬が77億円に達していたことが、29日わかった。

【写真】セブン&アイの決算会見で話すジョセフ・マイケル・デピント氏

同日開示された、セブン&アイの有価証券報告書で明らかになった。同氏は前期も37億円超の役員報酬を受け取っており、配当収入などを除いた役員報酬としては日本の上場企業の中で2番目の多さだった(詳細はこちら)。今回の「昇給」でトップに躍り出る可能性もある。

米国子会社のインセンティブで増加

77億円の内訳をみると、セブン&アイの取締役としての報酬はわずか2200万円。残りのすべては、同氏がCEO(最高経営責任者)を務めるセブン&アイの北米コンビニ子会社、セブンーイレブン・インク(SEI)取締役としての報酬となっている。

SEIからの報酬はなぜここまで膨らんだのか。SEIの報酬体系が、業績連動型となっていることが一つの要因だ。

セブン&アイの井阪隆一社長CEOの報酬は、7割が業績連動型報酬となっている。一方でSEIでは9割以上が業績連動型報酬だ。SEIでは短期(直近1年)、長期(直近3年)での業績・企業価値向上度合いによってインセンティブを設けており、今回の査定対象期間は短期が2022年、長期が2020年~2022年だった。また円安も報酬額を引き上げる要因となった。

デピント氏はアメリカの競合コンビニチェーン首脳を経て、セブン&アイ・ホールディングス発足前の2002年にSEIに入社した。翌年にはバイスプレジデント(副社長)に就任しており、以来20年以上、SEIの陣頭指揮を執ってきた。

SEIはセブン&アイ完全子会社となった2005年には店舗数6000弱、営業利益300億円台と、グループの1事業に過ぎなかったが、2023年度には店舗数1万3122、営業利益4139億円とグループ最大の中核事業となった。その最大の功労者がデピント氏であることは間違いない。

戦略の主柱はM&Aだ。日本のコンビニ市場はトップ3チェーンのシェアが93%を占めるが、北米は首位のSEIを含む上位10チェーンを合わせても全体の2割に満たない。そんな環境でSEIは2005年から2022年まで50件のM&Aを実施。7000店舗以上を取得してきた。

スピードウェイ買収で存在感

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