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ベトナムで「日本の会社」支える女性社長の生き様 丸亀製麺、吉野家、マツキヨなど提携先増やす

東洋経済オンライン / 2024年5月31日 12時30分

その加工会社は2009年に新工場を稼働させ、現在、えびカツや魚のすり身を製造して日本に輸出し、ベトナム国内向けにはコンビニやスーパーに惣菜や冷凍食品を製造するなど、順調に事業を拡大している。

「いろんなトラブル、失敗もたくさんありましたが、そのたびに日本の人たちが助けてくれました。生活の面では子どもをきちんと学校に行かせ、3LDKのマンションに住めればいいと思っていました。でも、仕事で日本の人に学びたい、日本人の優しさを宣伝したいという気持ちでいっぱいでした」と振り返る。

その根っこには、「日本の人が食べているものや使うもの、丁寧につくられた、安全で衛生基準の高い製品をベトナムの人にも届けたい」という強い思いがあったのだという。

転機となったオムツの販売代理店事業

メイさんの事業を大きく方向づけたのが、1999年にスタートした大王製紙の紙オムツの販売代理店事業だ。

日本製は当時のベトナムの一般的なオムツの3〜4倍と高く、売れる見込みがない。周囲に反対されたが、誰もやらないなら挑戦したいと代理店を引き受けた。

ちょうどその頃に、メイさんの第2子が誕生した。普段使うオムツではおしりがかぶれるのに、この商品ではかぶれない。ニーズは必ずある、と確信したという。

最初は1年間で2〜3コンテナ分を売り切るのがやっと。40人のアルバイトを雇って、子どものいる裕福な家庭にサンプルを送り、感想を聞き、PRを繰り返す。

粉ミルク販売でも、同様の手法でファンを増やし、高品質のベビー関連商品の販売を5年で軌道にのせた。メイさんによると、現在は当初の「50倍以上のボリューム」を日本から輸入し、卸販売の中核商品として安定的な利益を出せるようになったという。

旺盛な飲食市場の開拓を目指して、2014年には丸亀製麺とベトナム展開のフランチャイズパートナーを締結、イオンベトナムに1号店を開業した。ベトナムのほかの都市にも広がり、今年で20店舗になる予定だ。

丸亀製麺のFC事業は8年赤字が続き、黒字化したのはつい、2年前のことだという。

「いい材料を使い原価も高い。でも、お客さんは安心安全なもの、健康のことを考えるようになる。収入も高くなり、屋台も値上げしてくるから、それまで待とうと思いました。複数の事業を育てるのは、新規事業の赤字に耐えるためでもあります」と語る。

丸亀製麺を皮切りに、CoCo壱番屋、吉野家、マツモトキヨシなどFCや提携先を増やしてきた。目指すのは、成功しているビジネスモデルを学び、高付加価値な食や製品の輸入を通して日本のライフスタイルを紹介することだ。

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