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人気列車がなぜ?欧州「消えた有名特急」の面々 名称消滅「タリス」や会社自体が姿消した列車

東洋経済オンライン / 2024年5月31日 6時30分

フランス・ベルギー・オランダ・ドイツ間の高速列車「タリス」は2023年9月、吸収合併により約27年間親しまれた名称が消えた(撮影:橋爪智之)

現在のヨーロッパの鉄道は、上下分離とオープンアクセス化により、官民問わずさまざまな鉄道会社が国や地域、路線に関係なく、自由に列車の運行に参入することが可能となった。国際列車の運行も、以前は必要だった乗り入れ相手国側の鉄道への調整や許可でもめることも少なく、申請が通れば営業運転できる。

【写真20枚以上】2023年9月でその名が消えた高速列車や、イタリアとスイスを結んだ人気列車

このため、同じ線路上をさまざまな企業が運行する都市間列車や国際列車が走り、ヨーロッパの鉄道は色とりどりの車両が走っている。

一方で、資金的に余裕のある旧国鉄系の鉄道会社とは異なり、民間の列車運行会社は栄枯盛衰が激しく、利用者の多い有名な列車があっさり消滅してしまうことも多い。高い人気を誇りながらもその名が消えた列車、そして運行会社そのものが消滅した列車と、その理由を紹介したい。

【写真】2023年9月でその名が消えた高速列車や、イタリアとスイスを結んだ人気列車(20枚以上)

名前が消滅「ワインレッドの特急」

フランス・ベルギー・オランダ・ドイツを結んだ高速列車「タリス」は、イギリスと欧州大陸を結ぶ「ユーロスター」を運行するユーロスター社に吸収され、2023年9月にその名が消滅した。

タリスは1996年1月に運行を開始した国際高速列車で、流線形のボディをレッドとシルバーに塗り分けたそのカラーリングから「美しいワインレッドの特急列車」「お洒落な赤い高速鉄道」といった、少々歯の浮くようなキャッチコピーがガイドブックや旅行ツアーのパンフレット上に踊り、高い人気を誇った。

パリ―ブリュッセル間は、もともとビジネス客の利用が非常に多く、1957年に運行を開始した「TEE」(ヨーロッパ国際特急)の最初の運行区間としても知られる。高速新線の開業と共に運行を開始したタリスは、時間帯によっては30分間隔で運行されるなど高い乗車率を誇った。

それだけに、ユーロスターへ吸収される形での両社の合併が報じられたときはまさかという思いであった。2019年に両社の合併が発表されると、2022年に欧州委員会から正式に合併の承認が下り、その後は新ブランドロゴの制定などを経て、2023年9月をもって約27年間親しまれた「タリス」という名前はあっさりと姿を消した。

しかしながら、昨今の経済状況の悪化や運用コストの上昇、さらには他交通機関との価格競争による収益力低下などが徐々に会社の体力を奪っていき、近年は車内サービスの簡素化などが目立っていた。タリス単独で生き残っていくことは、コロナ禍やウクライナ情勢などがなくても難しかったといえる。

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