山中に違法な繁殖場「悪徳ブリーダー」偽装の手口 問題業者を野放しにするなら法改正も意味ない
東洋経済オンライン / 2024年6月1日 10時30分
6月1日から完全施行される数値規制
ペットを虐待する悪質業者の存在や、動物愛護意識の高まりを背景に、2019年に成立した改正動物愛護管理法(動物の愛護及び管理に関する法律)。
【写真で見る】かわいそうすぎる! Tさんが見たほこりにまみれた窓のガラス越しに見えた猫。目やにだらけで、何らかの疾患にかかっていることが容易に想像できる
それに伴い、2021年6月に施行された基準省令の一部の数値規制については経過措置がとられていましたが、第1種動物取扱業者に対する規制は、6月から完全施行されました。
法律では、生後56日以下の犬猫の販売禁止(8週齢規制)、寝床や休息場所になるケージの広さの規定、従業員(週40時間勤務)1人当たりの飼育頭数の規定、繁殖の回数や年齢の規定など、第1種動物取扱業者に対する数値規制などが定められています(具体的な数値は文末でご紹介します)。
しかしながら、一部の繁殖現場では、数値規制に関わるさまざまな法令違反が行われていることを、筆者は耳にしています。その偽装は多岐にわたり、まさに法とブリーダーの「いたちごっこ」になっています。
第1種動物取扱業を営むTさんは、猫の譲り先であるブリーダーが多頭飼育崩壊に陥っているのではないかと不安になり、ブリーダーが住む香川県まで見に行きました。
玄関で何度呼びかけても応答がなく、外から見える障子もボロボロ。家の周りには家具が放置されています。ほこりにまみれた窓のガラス越しに見える猫は目やにだらけで、何らかの疾患にかかっていることが容易に想像できました。
Tさんは管轄の自治体に対応を要請していますが、担当者は「ブリーダーに会えていない」という返答をするばかり。
「勇気を出して同業者を通報しても、後手後手の対応では、助けられる猫の命も救えない。このようなブリーダーを野放しにするなら、法改正しても意味がない」と、悔しそうに話します。
ほかにも多頭飼育が疑われる例があるので、ご紹介します。
ケース1:山の中に無登録の犬の繁殖場がある
あるブリーダーは、1人当たりの飼育頭数をごまかすために、人里離れた山の中に無登録の繁殖場を作り、何種類かの小型犬を繁殖させていた。親犬はケージに閉じ込めたままで、飼育環境は劣悪。そこで産まれた子犬は、登録してある繁殖場で同じ時期に産まれた子犬の兄弟姉妹と偽って販売されている。
ブリーダーに注意したところ、『余剰ぶんは隠せばいいだけ』と話した(山梨県で第1種動物取扱業を営むAさん)
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