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山中に違法な繁殖場「悪徳ブリーダー」偽装の手口 問題業者を野放しにするなら法改正も意味ない

東洋経済オンライン / 2024年6月1日 10時30分

ケース2:自治体の職員が来るときだけ余剰の犬を移動し数をごまかす

知人のブリーダーは、動物取扱業の更新時だけ余剰な犬を別の場所に移動させ、いかにも数値規制を守っているように見せかけている。『自治体が繁殖場を見るのは更新時だけ。普段は(法令違反の)30匹近い親犬で繁殖をしているが、見に来るときは頭数制限内の匹数なので、問題なく更新できる』と話していた(東京都で第1種動物取扱業を営むHさん)

動物愛護管理法では、生後8週齢以下での犬猫の販売を規制しています。

この「56日規制」は、幼い犬猫の販売は衝動買いを招きやすい、親から早くに離すと社会性が身に付いていないなど、結果的に飼い主の飼育放棄につながることを懸念し、設けられた数値規制です。

しかし、こちらについても規則違反があちこちで見られています。

一斉調査、50事業所で規制違反

2023年2月、環境省はペットオークションで犬猫の出生日偽装が横行している疑いがあるとして、ブリーダーへの一斉調査を実施。その結果、約1400事業所のうち50事業所で規制違反を確認しました。

昨秋に環境省が動物取扱業者に義務付けられているマイクロチップの登録情報を確認したところ、犬の出生日に偏りがあるブリーダーが一定数いることが判明。

オークションの開催日に合わせて販売可能な生後56日を超えるように、出生日を偽造している疑いが浮上したのです。

環境省の動物愛護管理室は「ブリーダーなどの関係団体に法令順守を要請する」としていますが、出生日偽装は数値規制案の段階からある程度予想されていて、「数値で規制するだけでは何も変わらない」「悪徳ブリーダーはさまざまな法の抜け道を考えるにちがいない」との意見も多くありました。

出産回数やスタッフの数をごまかしているブリーダーについては、こんな事例もあります。

ケース3:無登録のブリーダーから子犬を仕入れている

無登録で犬を繁殖している人から安価で子犬を仕入れ、自分が繁殖した子犬に混ぜて販売しているブリーダーがいる。ブリーダーは「数値規制で母犬の生涯出産回数が6回と限られたため、1回の出産でより多くの利益を上げるためにやっている」と話していた(神奈川県で第1種動物取扱業を営むIさん)

ケース4:猫以外の動物の世話をするスタッフも従業員としてカウント

猫だけでなく、ほかの動物も繁殖をしているブリーダーがいる。実際に猫の飼育に関わっている従業員は3人なのに、約150匹の猫を飼育している。3人なら75匹までしか飼育できないが、他の動物の世話をするスタッフも猫の世話をする従業員としてカウントしているため、飼育が可能になっている。
これは法の抜け道。当然、手が足りていないので、猫の飼育環境は良くない。病気の子もたくさんいる(千葉県で第1種動物取扱業を営むSさん)

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