「SNS投資詐欺」の被害が爆増している根本原因 "メディア"や"広告主"の責任も問われている
東洋経済オンライン / 2024年6月1日 7時30分
「前澤友作、僕のお金の哲学を語ろう」「池上彰氏が推奨する優良株」――。こうした著名人になりすました投資詐欺広告が、フェイスブックやX(旧ツイッター)などのSNSを跳梁している。
【図表で見る】たった3カ月で219億円の被害!SNSを使った投資詐欺は「爆増中」だ
SNS上の詐欺広告に引き寄せられて、現金を騙し取られる「SNS型投資詐欺」。被害多発を受け、SNSなどを運営するプラットフォーム事業者に対する規制を強化する動きが強まっている。
自民党でこの問題に取り組む「著名人にせ広告・なりすまし等問題対策ワーキングチーム」(座長・平井卓也衆議院議員)は5月24日、政府への提言案を示した。ワーキングチームは総務省、経済産業省、金融庁などと連携し、詐欺被害を減らすための政府一丸となった対策を求めている。対策の詳細は犯罪対策閣僚会議での議論を経て、6月中にも公表される見通しだ。
SNSに掲載される広告を舞台にして、いったい何が起きているのだろうか。そして、この問題を解決するために必要なことは何なのだろうか。
直近3カ月だけで219億円の被害
まずは被害の実態を見ておこう。SNS上の広告で著名人・有名企業の名前や写真を無断使用し、主催するセミナーや投資ビジネスへ勧誘する詐欺は、文字通り”爆増中”だ。
警察庁の調べによると、2023年のSNS型投資詐欺は認知件数2271件、被害額278億円だった。ところが2024年に入ってから急増する。2024年1~3月の3カ月だけで被害の認知件数は1700件(前年同期比6倍以上)におよび、被害額は219億円(同約7.5倍)にもなっている。
被害の最高額は4億5000万円と高額だ。今年1月には、非課税期間の無期限化や非課税上限額の拡大によって個人の株式投資を促進する新NISAが始まった。資産運用を国民に広く普及させようと政府が力を入れているのと同期するかのように、投資詐欺被害が増えているわけだ。
投資詐欺だけではない。恋愛感情を抱かせて現金をむしりとるSNS型ロマンス詐欺も横行している。SNSが詐欺の巣窟になっているのだ。
自民党ワーキングチームでは4月10日、投資詐欺集団に名前を使われている実業家の前澤友作氏、堀江貴文氏を招いてヒアリングを実施。その後もメタ・プラットフォームズ(フェイスブック、インスタグラムを運営)、X、グーグル、バイトダンス(TikTokを運営)などの外資系プラットフォーム事業者、国内からはLINEヤフーを招いてヒアリングを行い、どのような対策を行うべきかについて議論を重ねてきた。
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