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上場会社の社外取締役には「みちょぱ」を指名せよ 株主総会前に正しい企業統治とは何かを考える

東洋経済オンライン / 2024年6月1日 8時30分

そうなのだ。

日本の社外取締役の議論は、ほとんど間違っている。社外取締役を増やしたところで、劇的な効果などあるはずがない。そして、経営者としての専門性を期待したり、「社長の後継者を選ぶ指名委員会を社外取締役だけで構成しろ」、というような100%間違った議論が横行している。

社外の人に、人物の本当の価値を正確に評価できるはずがない。対外的評価と組織内での評価は異なるから、せいぜい両方を十分に考慮すべき、とするぐらいだ。

しかも、たとえば、2021年に起きた、東芝の一連のガバナンス騒動ではこんなことがあったことを覚えている読者もいるかもしれない。当時、アクティビストファンドが、中外製薬の名誉会長で東芝の社外取締役、取締役会議長だった永山治氏を、自分たちの思いどおりに動かないから、追放しようとした。そのとき、メディアの多くは、ファンドの味方をしたのである。

ありえない。彼ら(ファンド)は、特定利害に基づいているだけだ。

社外取締役の役割は前述した「社長の首に鈴をつけること」「議論や思考をオープンにして、風通しを良くする」ぐらいのことだ。それ以上でも、それ以下でもない。実際、アメリカにおいても、2001年のエンロン事件後、社外取締役はお友達同士が指名しあっているだけだ、ということになり、ほとんど期待されなくなった。過度な期待は禁物なのである。

コーポレートガバナンスの本質とは何か

社外取締役の議論だけではない。日本では、ほとんどすべてのガバナンス議論が間違っている。

たとえば、2007年のブルドックソースとスティールパートナーズの案件では、裁判所すら間違っていたのだが、株主総会で多数決を経ていれば、何をしてもいいかのような議論が行われている。

あのときは「買収防衛策として、スティールパートナーズは、保有していた株主を会社に売却しなければならない」という株主総会での多数決での決定が有効であり、結局スティールパートナーズは撤退した。

だが、株主総会で50%超を持っていれば何でもできる、というのであれば、株主総会は、少数株主の権利、利益を収奪する場にすぎなくなる。だから、第2次大戦後、アメリカの法律を明治時代のドイツ的商法に接木した時代から(現在の会社法になる前から)、そのようなときは、株主総会で反対した株主については、買い取り請求が認められているわけだ。

このスティールパートナーズの場合は、暴騰した株価でスティールパートナーズの保有株式は強制買い取りさせられた結果、ほかの株主は大きな損失を被ったのである。それに気づかず賛成している株主もどうかしているが、それに反対した株主は、スティールパートナーズと同じ扱いは受けられなかったのである。これは、株主平等原則に反している。

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