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上場会社の社外取締役には「みちょぱ」を指名せよ 株主総会前に正しい企業統治とは何かを考える

東洋経済オンライン / 2024年6月1日 8時30分

私も、21世紀初頭に、いろんな会社の株主総会に出席し、出席するからにはつねに質問をしてきたところ、総会屋対策ならぬ「オバタ対策」をする会社まで現れた。物言う株主、という言葉に象徴されているように、意見を言う株主は、普通でない、ろくでもない、とされてきたのである。

アクティビストはいいとこどりをしているだけ?

この悪い伝統により「株主は株主総会で言うべきでない」というだけでなく、「ガバナンスそのものを履行しない、してはいけない」という風潮ができあがってしまった。これは、日本的な面もある。日本人、日本社会は、実は非常に個人主義で、よそ様にとやかく言われるのが、とにかく嫌いであり、言うやつは嫌なやつなのである。

そういう風土もあって、企業は株式の持ち合いをし、お互いを守りあった。その悪い伝統が、21世紀になっても続き、株主が株主として力を発揮しなかったのである。だから、アクティビストに絡まれるまでは、配当もせずにため込んでいたということもある。

しかし、ため込んだものを、今、アクティビストに払ってしまうのもおかしな話だ。まあ、過去の株主の怠慢のツケをアクティビストがいいとこどりをしているのである。

昨今のPBR(株価純資産倍率)1倍割れも、一方的に、日本企業の経営が悪いことになっている。こともあろうに、ほぼ政府のような役割を期待されている東京証券取引所までもが、アクティビストの手先のように「PBR改善運動」を展開して、ファンドのリターン上昇に貢献している。

だが、そもそもPBRが1倍割れしているのは、経営が悪い可能性もあれば「株式市場が間違っている」「株価が安すぎる」「投資家の見る目がない」、という可能性もあるのだ。

短期投資家たちは、東証にPBR改善運動をやらせ、そのネタで盛り上がったところを売り抜けるだけである。本当に経営を良くしようと思うのであれば、ROA(総資産利益率)やROI(投資収益率)を上げろ、というのが筋であり、PBRが低すぎるのは、投資家が企業を評価できないせいであり、株式市場のほうが悪いのである。

日本が「今やるべきこと」とは?

したがって、日本がコーポレートガバナンスについてやるべきことはただひとつである。女性取締役を増やすことでもなく、PBRの改善でもない。それは、良い投資家を育て、良い株主を増やすことである。

良い投資家、良い株主とは、短期的なイベントを期待して、株式を売買するのではなく、良い経営者と同じ目線、同じタイムスパンで、長期的な企業の成長を望み、促す投資家、株主のことである。長期投資をうたうファンドは多くあるが、実体は、せいぜい数年で売ってしまうのだ。30年、50年、あるいは半永久的に持つ覚悟があり、そのような仕組み、そのようなファンドの出資者をそろえたファンドを育成するべきなのである。

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