認知症「一歩手前」の特徴と予防のためにできる事 そのもの忘れは「病的な健忘」か「加齢現象」か
東洋経済オンライン / 2024年6月2日 7時40分
30~40代を過ぎると、とっさに人や物の名前が出てこなくなって「あの人」とか「あれあれ」などという指示語が増えたり、忘れ物が多くなったり、自身の両親が認知症になったりして、もしかして自分も……などと不安に思うことがあるかもしれない。
では、どうしたら認知症を予防したり、発症の時期を遅らせたりできるのか。東京都健康長寿医療センターの副院長で、脳神経内科部長の岩田淳さんに話を聞いた。
認知症もさまざまなタイプがある
日本における認知症高齢者数は、2012年には約460万人(高齢者人口の約15%)であり、2025年には約700万人(高齢者人口の約20%)になると推定されている。つまり、高齢者の5人に1人が認知症ということになる。
【表で紹介】認知症の前段階、軽度認知障害(MCI)が心配になる具体的な症状とは?
認知症とひとくちにいっても、タイプはさまざまだ。
中枢神経変性疾患のアルツハイマー病やレビー小体型認知症のほか、脳炎や甲状腺機能低下症などの病気、脳挫傷などのけがによる認知症、脳炎などの感染による認知症もある。
このうち最も多いのはアルツハイマー病で、認知症全体の半数以上を占める。次いで多いのが血管性認知症、レビー小体型認知症だ。
現在、アルツハイマー病などの中枢神経変性疾患では、認知症になる一歩手前を「軽度認知障害」と呼んでいる。軽度認知障害は、MCI(Mild Cognitive Impairment)ともいい、認知症と健常な状態の中間のグレーゾーンを指す。
「認知症ではないが、記憶力が低下し、順序立てて物事を考えたり、新しいことを覚えたり、テキパキと行動するのが苦手になるといった状態」だと岩田さんは説明する。
つい見逃す「もの忘れ」に注意
MCIの状態にある高齢者は、推定約400万人。認知症と違って、記憶力や注意力の低下は見られるものの、日常生活に支障をきたすほどではないため、本人も家族もつい見逃してしまうこともあるから、注意が必要だ。
下記にMCIが心配になる例を挙げた(※外部配信先では表を閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)。
「患者さんご自身やご家族から特によくお聞きするのは、同じ話を何度もしているのに話したこと自体を忘れてしまう、新しく買ったテレビなどの機器の操作がなかなか覚えられない、といった話です」(岩田さん)
MCIは、記憶障害の有無で大きく2つに分けられる。
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