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北海道東川町「人生の学校」参加する男女の"目的" 学び直しの機会は社会全体としても重要になる

東洋経済オンライン / 2024年6月2日 12時30分

―ショートコースは参加者にとってどのような変化をもたらすのでしょうか。

ショートコースでは、8日間で4回の授業を行いますが、地域の方々とコラボレーションして授業を作るスタイルをとっています。現在では30人以上の地域の方々が協力してくれています。写真家、テキスタイルデザイナー、ヨガの先生など、さまざまな方々が参加しています。

参加者の声として「忙しい仕事の中で価値観と目的、自分が何を大事にしてたのかわからなくなっていたのが、参加したことで明確になりました」というのがショートコースでも出てきています。興味深いのが、短期のコースでは人の良い部分にフォーカスする傾向があることです。多様な価値観の人との繋がりができたことを喜ぶ人が多いですね。

―社会人が休むことに関して日本はネガティブな印象を持っている人が多いと聞きますが……。

そうですね、休むということよりも学ぶことに対してもう少しポジティブな捉え方が広まるといいなと思っています。リスキリングに偏りすぎず、自分がどう生きたいかを考えることが重要だと思います。とりあえず何か学ばなきゃというのではなく、自分の生き方を見つめ直す時間も大切だと思います。

―今後の展開を教えてください。

新校舎が完成したので、その空間を活かした学びを提供していきたいと思っています。ショートコースや、数カ月の長期コースも今まで以上に展開していきたいと考えています。また(大人が学ぶことの)文化を醸成する意味で個人だけでなく法人や行政とも連携し、地域との仕事の在り方を考えるプログラムも作っていきたいと思います。また将来的には他の地域にもこういう学校が増えてほしいと考えています。

日本型の人生の学校の可能性

本家デンマークのフォルケホイスコーレをはじめとする海外留学は、キャリアブレイク中の社会人が人生を見つめ直し学び直しをするのに最適だと考えています。

ただ今回、東川町を訪れてみて、短期間でも海外留学に近い効果があることがわかりました。普段の武装した自身の鎧を脱ぎ捨てて、一人の人間としてコミュニティの中で生活し学びを深めていくプロセスは、いまの日本の労働環境の中で違和感を抱えている人たちに次のステップに進むきっかけを与えてくれるものなのでしょう。

デロイト トーマツ グループが毎年実施しているZ・ミレニアル世代年次調査によると、日本のZ世代がハラスメント被害を受けた際に職場に通報した割合は78%、一方ミレニアル世代は44%に過ぎず、職場に不満があった際も特にミレニアム世代はじっと耐える傾向にあるようです。これはグローバルの80%の通報率と比較しても異常に低い数値です(Z・ミレニアル世代年次調査2023より)。

声を上げない29〜40歳の会社員は特にストレスを抱えて社会生活を送っていると考えられます。普段在籍している組織から離れた場所で一定期間生活しながら自分を見つめ直したり、学び直したりする機会は個人だけでなく社会全体として今後より重要になると考えます。

大川 彰一:留学ソムリエ 代表取締役

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