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日本政府が防衛費を上げる前にやるべき3つのこと 陸自予算の削減、新戦闘機開発の中止、耐震改修…

東洋経済オンライン / 2024年6月2日 8時0分

防衛費を増額して中国向け軍事力の改善を図りたいが、経済事情からその実現は困難なのだ。

まずは陸上戦力の見直しを

この問題を解決する方法は存在する。防衛費増額の継続のは難しいが、軍事劣勢の緩和と経済改善の両立はできる。

それは防衛支出を見直すことだ。防衛支出のうち中国対策とならない事業を見直す。その分の防衛費を削減する。あるいは軍事劣勢の改善に充てることだ。

まず1つ目は、陸自支出の縮小である。日中の軍事対立は海空戦力による対立だ。陸上戦力には中国対策の効果はない。そこへの投資を控えることで防衛支出の縮小と対中劣勢の改善の両立は可能となる。

陸自支出の縮小については、中国対策にはならない陸上戦力への投資を控える。それにより防衛支出の縮小と対中劣勢の改善の両立は可能となる。実際に、陸上戦力は存在感を示せていない。

両国は地続きではない。陸軍にあたる人民解放軍100万人が中国本土に存在しても、日本に14万人の陸自が存在していても、互いにとって脅威とはならない。つまり、陸自は中国対策とはならない。

平時の対立なら、なおさらである。陸上戦力は、いま競っている軍事力積み上げの対象戦力ではない。増強しても競争は有利とならないし、縮小しても不利ともならない。

だが、陸自は防衛支出の相当部分を占めている。年度で変わるが陸自向け支出は防衛費の35~37%と頭一つ抜けている。海上・航空自衛隊はそれぞれ22~25%だ。5割以上も多い。

これは防衛費増額後も変わっていない。支出割合の発表を中止したことから、それが推測できる。政府は防衛費の増額を決めた2022年の『防衛白書』から陸海空自衛隊ごとの支出割合の提示をやめている。

陸自向け支出も従来比に合わせて増額したことをわからなくするためである。それからすれば、陸自向け支出は今なお35%前後を占めていると考えてよい。

2024年度予算の8兆円であれば3兆円以上となる。ちなみに海自・陸自向けは2兆円に満たない。その1.5倍以上を消費している。

戦車や野砲は対中抑止力になりえない

戦車と野砲の発注増も大幅な増額を示唆している。2024年度予算では、10式戦車10輌と19式軽自走砲16門で合計26輌・門を発注する予定となっている。これは2020、2021、2022年度予算の平均13輌・門の2倍だ。当然だが、どちらも中国対策とはならない兵器である。

この陸自向けの支出を抑えればどうなるか。陸自支出を従来額に戻す。または従来よりも節約する。さらには陸自の組織規模ごと縮小すればどうなるのだろうか。

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