日本政府が防衛費を上げる前にやるべき3つのこと 陸自予算の削減、新戦闘機開発の中止、耐震改修…
東洋経済オンライン / 2024年6月2日 8時0分
中国対策と防衛費抑制を両立できる。海空戦力を増強しながら防衛費の引き下げも可能となる。
2024年予算に当てはめれば、6兆円代まで圧縮できる。陸自関連支出の割合を今までと同じ35%と推定すれば3兆円である。それを従来額の1.8兆円に戻すだけで防衛費は8兆円から6.8兆円になる。海空と同等額の1.2兆円とすれば6.2兆円となる。
将来的に組織整理を進めれば、陸自向け支出は1兆円以下まで圧縮できる。たとえば、陸自14万人を7万人まで絞れば、従来と同様の支出をしても0.9兆円で済む。
2つ目は、新戦闘機開発の中止だ。日本・イギリス・イタリアの3カ国で共同開発する戦闘機について、日本は現時点で1.7兆円を投じる計画である。それを中止する。
これも見直してよい支出だ。ものになる見込みは低い。そのうえ、アメリカ製のF-35を購入することで代替できる。中止しても中国対策には差し支えは生じない、
新戦闘機の開発も中止してよい
なによりも新戦闘機の能力は現行のF-35戦闘機にはまったく及ばない。まず、F-35を超える性能を、新戦闘機には期待できない。開発する日英伊の技術力は、アメリカ航空産業には遠く及ばない。いずれの国の軍用航空機を見ても同時代のアメリカ製には劣っている。
そのうえ、共同開発の弊害も出る。性能を設定する段階から日英伊の会議で決めるやり方である。総花的で中途半端な戦闘機しかできない。
また、価格でも太刀打ちはできない。F-35は現段階でも発注予定数は3000機を超えている。対して、新戦闘機は300機売れるかもわからない。生産規模からF-35より安く作れる見込みはない。
実際のところ、1機当たり開発費の段階でF-35の購入価格を超えてしまう可能性もある。開発費は総額4兆円、うち日本負担額は1.4兆円とも言われている。実際には少なくとも2倍、場合によれば3~5倍まで膨らむためである。
そのうえ、いつ完成するかもわからない。航空機の開発では、予定より10年遅れることも珍しくない。現時点では2035年に生産1号機が完成する計画だが、実際には2040年から2045年だろう。
そのころにはアメリカでは新戦闘機「NGAD」の生産が始まっているだろう。日英伊がF-35の同等品を開発する間に、F-35の次の戦闘機は完成している。となると、空自が「共同開発した新戦闘機はいらない、NGADがほしい」と言い出すはずだ。
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