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JR西日本、突然「Tシャツ勤務」OKにした深い理由 JR東海は新幹線通勤時間を勤務としてカウント

東洋経済オンライン / 2024年6月3日 6時30分

バックオフィスで働く社員に対する服装を定めた規定はない。オフィスカジュアル導入に煩雑な手続きはなく、やろうと思えばいつでもできる。そこでGW明けから有志の間で試行的に始めてみた。最初はおそるおそる。それはそうだろう。乗務員や駅員など鉄道現場の社員たちはかっちりした制服に身を固めているだけに、鉄道本部の社員もスーツ・ネクタイが当たり前という風潮があった。それでも、同じフロア内で働く者どうしの間でオフィスカジュアルが少しずつ広がっていった。

ある日、カジュアルな服装の若手社員たちが生き生きと働いているのを見た経営幹部が、「いい試みだからオフィシャルな取り組みにして鉄道本部以外にも広げよう」と宣言した。どうせやるなら夏が本格化する前にやりたいということで7月初旬の導入が決まった。

一方で、1つだけ条件が付いた。「服装に関するガイドラインを作ったほうがいいんじゃないか」。仕事にふさわしくない格好で出社するかもしれないから、こんな服装にしなさいというガイドラインか。そうではなく、むしろその逆。基本的にはすべてOKで、NGリストを作ってNGでない服装であればOKということにした。最低限のルールだけ作って、何を着るかはあくまで社員決めさせる。

オフィスカジュアルで何が変わった?

鉄道会社は安全運行を保つためさまざまなルールを設けている。そのルールに従っていれば日々の業務は進んでいく。だが、それは変革の時代には通用しない。今求められているのは「自分で考える」ことだ。担当者たちは突貫工事で作業し、わずか10日間でガイドラインを完成させた。

ガイドラインの具体的な内容はどのようなものだろうか。たとえば、Tシャツのデザイン。イラストやロゴがワンポイント入っている程度ならOK。シャツいっぱいに多く描かれているのはNG。○cm以上はだめといったように数字で示しているわけではないので、「そこは常識の範囲内」。

これまでのところ、ふさわしくない服装だとして注意を受けた社員はいないという。逆にオフィスカジュアルに慣れていない年配の社員はどうか。この点については、「スーツ・ネクタイを否定しているわけではないので、そういう服装の社員もいる。しかし、最近は50代社員のうち半分の服装はオフィスカジュアルだ」。

オフィスカジュアルを導入した結果、どんなメリットがあったのか、長谷川一明社長は「たかが服装だが、されど服装」と話す。「服装が変わることでこれまでの硬直化した発想から自由な発想に変わった」。社員たちも「社内の空気感が変わった」と口をそろえる。お互いの服装の変化をきっかけに社員同士のコミュニケーションが増えたという。「全社的に明るくなった」。新卒採用活動にも好影響が出ているという。

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