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JR西日本、突然「Tシャツ勤務」OKにした深い理由 JR東海は新幹線通勤時間を勤務としてカウント

東洋経済オンライン / 2024年6月3日 6時30分

カジュアルな服装については1つ疑問がある。バックオフィスの社員たちは、乗っている列車内で緊急事態が起きた際には乗務員とともに乗客誘導を行う決まりだ。カジュアルな服装で乗客誘導を行っていいのか。この点について問うと、「勤務時間外のプライベートで列車に乗っている社員も、何かあればJR西日本の腕章をして業務に当たる」。つまり、今までと変わらないのだ。では、急な謝罪対応などカジュアルな服装が許されない場合はどうか。これについては、個人ロッカーに白いワイシャツやネクタイを入れておくことで対応するとのことだった。

もう1つ疑問がある。バックオフィスの社員がオフィスカジュアル化することで、鉄道現場で制服を着て仕事をしている社員たちから不公平という声は上がらなかったのだろうか。長谷川社長に直撃質問してみたところ、「そのような声は聞いていない」と断言した。現業部門の社員は制服に着替えることで頭のスイッチが切り替わり、安全運行への意識を研ぎ澄ませる。服装の意味合いが違うのだ。

部署別でない新オフィスのフロア構成

JR西日本がスタッフの働き方改革として取り組んでいることはほかにもある。大阪駅近くの本社ビルにある鉄道本部を今年度中に新大阪駅近くの賃貸ビルに移転するのだ。本社で勤務する700人とほかのビルで働いている200人、合わせて900人が移転対象となる。倉坂昇治副社長はその狙いについて次のように話す。

「新大阪駅は将来、なにわ筋線、北陸新幹線、リニア中央新幹線が結ばれた際には、西日本最大の交通結節点となる。 この新大阪を中心に、本社と地方機関それぞれが本質的に果たすべき役割や機能を追求しながら、 いっそうの意思疎通と連携強化を図っていくことが、鉄道事業を発展させる重要な一手になる」

服装のオフィスカジュアル化が一定の成果を挙げていることから、単なるオフィスの移転ではなく、新ビルでは「新しい働き方」の実現も狙う。昨年11月にはそのためのワークショップを3回実施。延べ70人近い社員が参加し、新しい働き方にふさわしいオフィスのあり方について活発な議論が行われた。

ここで出されたアイデアが実際のレイアウトに反映された。たとえば、一般的な本社ビルは、3階は○○部、4階は△△部といった具合にフロアごとに異なる部署が入居しているが、新大阪の鉄道本部はフロアを部署ではなく、機能で分けるという。

出社した社員は全員が個人用ロッカーのある「エントリーフロア」という階に顔を出す。その狙いは異なる部署の社員同士の会話を促すことだ。ほかにもフリーアドレスのデスクが並ぶフロア、集中して仕事をしたい人のためのフロア、上司が1カ所に集まって仕事をするフロア、グループで仕事をするフロアなどがある。どの社員がどのフロアで仕事をしているかは、ビーコンで把握できる仕組みになっている。

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