他人にお金を使う人の幸福度が上がるカラクリ 他人と繫がる重要性が刻み込まれた人間の脳
東洋経済オンライン / 2024年6月4日 17時0分
「運気」と聞くと、非科学的なもの、エセ科学、スピリチュアル系、うさんくさいなどというイメージがあるかもしれません。しかし、運気が上がっているかどうかは、次の2つに落ち着きます。
1:出来事をどう解釈するか
2:出来事が起こる確率
それぞれ、心理学や脳科学、統計学の話がかかわってくるので、「運気」というテーマは、きっちりと学術的・科学的研究の対象となるのです。『世界の研究101から導いた 科学的に運気を上げる方法』を上梓した明治大学教授の堀田秀吾氏が、科学的に運気を上げるコツを紹介します。
よい行いをすると幸せホルモンが分泌される
ブリティッシュ・コロンビア大学のララ・B・アクニンら[1]は、カナダとウガンダで、「自分のためにお金を使う」場合と、「他人のためにお金を使う」場合とで、被験者にどのような影響が出るかを調査しています。
すると、文化や経済的な文脈が大きく異なる両国で、どちらの被験者にも、他人のためにお金を使う場合に幸福度が高いということが認められたのです。
これにはシンプルに「いいことをした」という満足感もあるのですが、進化心理学的には「コミュニケーションの形成」に対するプラスの感情が大いにあると考えられます。
コミュニケーションをとると、幸せホルモンのセロトニンが分泌されることも分かっています。人間は一人では生きていけません。
少なくとも、現代社会ならともかく、旧石器時代では無理があります。
人間が1対1では簡単に殺されてしまいかねない猛獣などの敵や獲物がいる社会で、生物界の覇権を握った背景には、集団生活の力があります。
コミュニティの力で生存競争を勝ち抜いてきた私たちの脳には、他人と繫がる重要性が刻み込まれています。
だから、人と触れ合うと幸福感を覚える仕組みになっていて、コミュニケーションをとると報酬系が刺激されて幸福感を覚えるのです。
人は、気持ちいいこと、嬉しいことは進んでやろうとするからです。他人のためにお金を使うのは、言ってみればより高度で、社会的なコミュニケーション。
実際にどれだけ意識しているかはともかく、少なくとも騙されやすい単純な脳にとっては、「お金を使った相手との関係性が深まっていくきっかけ」として感じられるわけです。
自分の行動に、肯定的な「大義名分」を与える
また、アメリカの心理学者レオン・フェスティンガーが提唱した「認知的不協和の解消」[2]という理由も考えられます。
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