60歳で難病「岸博幸さん」残りの人生の"優先順位" 病になって気づいた事、インタビュー前編
東洋経済オンライン / 2024年6月4日 9時30分
吐き気や口内炎で具合が悪いし、髪の毛が抜けて不愉快だし、入院中は面白いことはなかったですよ。でも元来、暗い人間ではないので、うだうだしながらちょっとした楽しみを見つけて、という感じで過ごしていました。
無菌室フロアにいて思ったのは、長期入院されている方が多いからか、どうしても皆さんの表情が暗い、ということ。特に中高年の男性ですね。
女性の患者さんには比較的明るい方が多くて、だんだん仲良くなって、お互いに励まし合ったりしていたんですけど。ここでも男性と女性の違いが明確にわかって、興味深かったです。日本の中高年男性ってまじめってことなんだけれども、面白みがないですね。
――入院中、岸さんは余命10年を“ハッピー”と“エンジョイ”で生きようと決めました。
入院中にまずやったのは、反省です。
元々、僕は自分勝手な人間で、45歳で結婚するまで好き勝手やっていたんですよ。仕事も自分がやりたいこと、仕事以外でも自分が好きなことを優先していた。好きなヘビメタバンドのコンサートとか、ひいきにしているNBAのチームの試合とかがあれば、仕事そっちのけでニューヨークに行っていたし。
ただ、結婚して、子どもができると、そうはいかなくなるもの。子どもの世話はしないといけないし、お金を稼がないといけない。気が付くと、自分のことより家族や仕事を優先するようになっていた。
もちろん、それは大事だし、勉強になることも多かったけれど、人生楽しかったかって考えると、「楽しくないよね」と。
残り10年しかないんだから、自分よりまわりを優先させるのはやめよう、もっと好き勝手やって、自分が楽しく過ごせるようにしようって思ったわけ。
そんなことを考える時間ができたという点では、病気になってよかったと思う。これは強がりでもなんでもなくて、本心です。
仕事とプライベートで優先したこと
――実際に、ハッピーとエンジョイの生活を始めていかがですか?
仕事に関していえば、政策を作る仕事とか、地方を活性化させる仕事とか、そういう自分がやりたいと思う仕事を優先するようになった。そういう仕事って収入につながらないんだけれど、やっぱり楽しい。
プライベートに関しては、さっそく3月にヘビメタバンドのコンサートを観るために、ニューヨークに2泊4日で行ってきました。秋にもヨーロッパに行く予定。本当は今この瞬間もアメリカに行きたい。NBAのプレイオフの真っ最中だから(笑)。
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