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「老いって何?」歳を気にする人が知らない"視点" 「年相応に見られたい」の「年相応」って何?

東洋経済オンライン / 2024年6月4日 13時0分

昨年秋から半年間におよんだ研修では、「LGBTQ+」や「困窮家庭の子どもたち」について講義を聞いたり、「障害の有無に関係なく歌えるコーラス」の取り組みを通して障害者について考えたりした。

大橋さんは研修の半年間に、自身が変化していることに気付いたという。きっかけは、イベント内で参加者に自己紹介したときだった。

研修では、「自分の人生をどのように話せば、たった3分でも相手にインパクトを残して伝えることができるか」を、コピーライターの講義などから学んだ。大橋さんは話すことがあまり得意ではなく、ほかのアテンド仲間や家族とともに何度も練習を重ねた。

大橋さんはこう話す。

「私はこれまで自分の人生について、周囲の人に話してきませんでした。未婚で一人娘がいることは話しても、生い立ちや自分の気持ちを言葉にすることは避けてきたところがあります。でも、研修を通して自分の体験を伝えたくなって……。話したら気持ちが軽くなり、生きることが楽になりました。80代になって、ようやく鎧を外すことができたのです」

花柳界で生まれ、未婚の母に

大橋さんの実家は芸者の置屋だったことから、花柳界で生まれ育った。

正月に着る芸者の衣装に憧れて、中学を卒業後すぐに踊りや三味線、唄などの芸事を身に付けて、18歳で半玉(はんぎょく・見習い)、20歳で芸者に。芸者として順調だった頃、好きになった人の子どもを身ごもり、悩んだ末、未婚の母を選んだ。

ウィズ・タイムのなかでは、そのときの気持ちをもっと詳しく、率直に語っている。参加者はその話に心を動かされ、今度は自分の半生について語りだしていく。

参加者は大人が多いが、小学生が親と一緒に体験することもある。大橋さんは多世代の参加者から日々、共感したり楽しくなったりする話を聞きながら、驚いたり感心したりしている。

「毎回、参加者といろいろな話をするからなのか、帰宅すると、娘が『目がキラキラしているよ』と声をかけてくるんですよ」と、大橋さんは笑う。

同法人では、ダイバーシティやハンディキャップへの理解の向上を目的に、ウィズ・タイムのほかにも2つの体験型エンターテインメントを主催する。

1999年から開催している「ダイアログ・イン・ザ・ダーク(以下、イン・ザ・ダーク)」は、照度ゼロの真っ暗闇の中で視覚障害者のアテンドのもと、非日常体験をしながら、グループメンバーと対話をする。すでに、国内で24万人以上が体験した。

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