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高齢者定義「65歳→70歳」引き上げで起こる"困惑" 年配の人々のあり方が多様化した今、考える事

東洋経済オンライン / 2024年6月4日 9時0分

高齢者の定義が5歳引き上げられて70歳になったら……(写真:プラナ/PIXTA)

岸田総理が主宰する経済財政諮問会議で、高齢者の定義を5年引き上げ、70歳にしようという話が持ち上がりました。

【グラフで見る】平均余命の年次推移

高齢者への年金を減らしたい

<時代は昭和とは違う。国民の体力も大幅にアップしたし、医学は発達した。医療制度もそれに応えている。何よりも皆さん元気なのだから、高齢者の名のもと、おじいさん、おばあさん然を決め込むことはやめようよ>というあたりが表向きの趣旨の発言です。

しかるにこの話は、高齢者への年金を減らし、財源を維持したいという本音が色濃く見え隠れするものにも見なされがちです。いや、もっと露骨で、「見え隠れ」というレベルではないかもしれません。

実際、ダイレクトにそういうメッセージとして受け取った人も少なくないと思われます。

報道を見ても、「社会保障費カットの雰囲気づくり」というような表現も散見され、どうもその世代の人たちにとって、一見、単純に喜べる話には見えません。

このことは日本に限ったことではなく、2023年秋にフランスの年金受給年齢が62歳から64歳に引き上げられたときも、国を挙げて大ブーイングになりました。

一方で、高齢者が「65歳から」というのは、現代医学の水準に鑑みてみると、どうにもしっくりこないのは確かでしょう。医師から見た風景というわけでなく、皆さんから見ても、世の65歳はおおむね元気でしょう。

この機会に改めて各種の高齢者のデータをひもといてみようと思います。

昔に比べて60代はまだまだ元気

まず、元気に関して。

平均寿命はこの50年で男女とも10歳以上延伸し、男性が81.05歳、女性が87.09歳と、男女とも80歳を超えています。健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間を指す健康寿命も、同様に延伸しています。

体力に関しても文部科学省の実施する「新体力テスト」では、65歳以上の体力スコアが男女とも年齢(5年区切り)にかかわらず、この20年で10%程度増加していることが明らかにされています。

次に、WHO(世界保健機関)ですが、世界的に合意された「高齢者」を定義する年齢は存在しないとする一方、先進国では一般に65歳から高齢者としていると言明しています。

そして、高齢者の雇用にかかわる高年齢者雇用安定法。

高齢者がより長く活躍し、年金などの社会保障制度の負担も軽減するというねらいのもと、「まだ60代前半ではフルに労働できるよね、全然OKでしょ?」ということで、会社は65歳まで雇用を確保することが義務づけられ、さらには、企業努力で70歳まで仕事を続けられるようになりました。

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