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映えスポットに変貌「横須賀」に何が起きたのか 建てない土地活用と前のめりな再開発事情

東洋経済オンライン / 2024年6月4日 11時0分

野比海岸には約1キロにわたって「アート」が設置されている(写真:筆者撮影)

首都圏を中心にどこの街でも開発に目が行っているようだが、そのうちでも前のめっている印象があるのが横須賀市だ。駅前で再開発がスタートしただけなら他都市と同じだが、一目で見える程度の限定的な範囲にこれからの計画が5つもあるという乱立ぶり。

【写真で見る】#ジハングンの象徴でもあるリアルとフェイクが入り混じったピンク色の自販機

しかも、一定の要件を満たせば固定資産税、都市計画税をそれぞれ90%減免するような独自の特別減税や奨励金制度などで開発を後押ししてもいる。さて、実現性はあるのだろうか。

映えスポット仕掛ける会社とタッグ

2024年4月1日。横須賀市野比海岸で同地の駐車場の指定管理者がプレス内覧会を開き、遊歩道に作られた高さ6mものブランコや、リアル、フェイクの入り交じる自動販売機などがお披露目された。約1キロに及んでアートスポットが設けられ、まさに「映えスポット」である。

仕掛けたブルースカイは、過去に上下水道のない福岡県糸島市近郊の浜辺で駐車場を映える目的地に変えることで収益向上を図った実績がある。同社が作った「#ジハングン」と名づけられたアートスポットは2018年から2022年までの5年間で150万人以上を集め、ハッシュタグ2.8万件以上、2019年にはSNS分析会社による「インスタ映えスポットランキング」で全国3位(3年連続でトップ5入り)の成果を上げた。

今回は、鎌倉に本社のあるまちづくり会社、エンジョイワークスと組んで野比海岸にある2カ所の駐車場運営と、海岸沿いの遊歩道の一部、施設などを指定管理者として手掛けることになったわけだ。

もっとも、今回内覧会に参加して感じたのは横須賀市の奮闘ぶりである。

不動産活用というと、多くは建物を建てることを考えるが、何も建てることなく、つまり費用をかけずに稼げる土地にするという手法は非常に斬新で、できるだけ費用を抑えて賑わいを生みたい自治体には願ってもないコンテンツ。地元選出の衆議院議員・小泉進次郎氏も訪れたというから大きな期待が寄せられているのは間違いない。だが、ピンクの目立つオブジェには反対の声が出てもおかしくない。

そこを上手にまとめて短期間で実現させたところに、2000年以降、深刻な人口減少に悩む横須賀市の「何とかしなくては」という前向きな姿勢が見られるように感じた。

このほかにも、2022年に惜しまれつつ解体された建築家・黒川紀章氏による中銀カプセルタワービルのカプセルを宿泊施設として活用するというプロジェクトが発表されたが、これはエンジョイワークスがアプローチし、設置されることになったのも横須賀市だった。世界で唯一、中銀カプセルに泊まれる施設となれば世界中の建築好きが注目する。こちらも意欲的な取り組みである。

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