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「見た目の良さ」が他のすべての評価を高める訳 ビジネスにも応用できる「ハロー効果」の力

東洋経済オンライン / 2024年6月5日 8時30分

客観的に考えれば人間としての好感度で外見が違って見えるわけがないし、仕草や訛りの評価が変わるはずもないのだから、これは興味深い結果だ。

ハロー効果はビジネスにも見られる

ソーンダイクならおそらくわかっていたことだと思うが、評価は「客観的に」されるとは限らない。そしてハロー効果は兵士や学生だけに生じるものでもない。商業的な場面でも見られる。

私がジョアンナ・スタンレーとともに行った実験では、イギリス人の被験者404人に架空の青果店に関する説明をして、その青果店の品ぞろえがどれくらい充実していると思うか尋ねた。

被験者の半分には、その店の看板に誤字(間違った位置にアポストロフィ「’」がついている)があると教えた。残りの半分の被験者には、そのようなミスはないという設定で説明をした。

結果は歴然としていた。誤字について聞いていた被験者たちは、誤字の話を聞かなかった被験者たちと比べて、その店の品ぞろえは悪いという答えが17%多かった。

客観的に考えれば、店主の文法能力と店の品ぞろえは別の話だ。にもかかわらず、実際にはそう受け止められなかった。被験者は、気づきやすい具体的な要素(いい加減な看板)を利用して、無関係の、しかし答えの出しにくい要素(品ぞろえ)について予測を立てるヒントにしたというわけだ。

ハロー効果がしょっちゅう起きるのは不思議でも何でもない。ハロー効果には大切な役割がある。生活のあれこれが楽になるのだ。

毎日の生活で出会う物事のすべてをいくつもの指標で細かく評価するのは面倒だし、時間もかかる。一番はっきりわかる性質をヒントにして、それ以外のわかりにくい要素を推し量るための代理指標にしたほうが、物事は迅速に判断できる。

ダニエル・カーネマンは著書『ファスト&スロー』でこう説明している。

「まさにこれが直感的なヒューリスティクスの本質だ。人は難しい疑問を目の前にすると、その疑問とは別の簡単な疑問に対して答えを用意することが多い。たいていの場合は、自分が問いを置き換えてしまったことを自覚していない」

ハロー効果をマーケティングに活用する

ハロー効果をマーケティングに活用して、遠回しに狙いを達成することもできるだろう。

ある領域で際立った成功の部分があれば、それが無関係な特徴についてもイメージをよくするので、本当の目標が間接的に叶うというわけだ。たとえば品質に対する消費者の認識を高めることが本当の目標である場合に、代理指標として、好感度を上げる工夫をすればいい。

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